2018/03/01 グリーンピース最新放射線調査報告書ーー避難指示解除区域で国際基準/日本政府長期目標をはるかに超える放射線リスク
RELEASE ENERGY 2018.03.01

2018/03/01 グリーンピース最新放射線調査報告書ーー避難指示解除区域で国際基準/日本政府長期目標をはるかに超える放射線リスク

国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは(東京都新宿区、以下グリーンピース)、本日1日、放射線調査報告書『原発事故の写像ーー浪江町と飯舘村における放射線調査』(注1)を発表し、福島県の飯舘村や浪江町の避難指示が解除された地域で、いまなお国際基準と政府の長期目標の年間1ミリシーベルト(注2)をはるかに超える高い放射線量が続いている地点があること、除染の効果が限定的であることを明らかにし、政府がこれらの地域の人々への賠償を打ち切る形で帰還を進めることは、人権侵害であると訴えました。国連人権理事会の対日人権審査で、日本政府は、住民の健康への権利を尊重することや、許容放射線量を年間 1 ミリシーベルトに戻すことなどを勧告されており(注3)、16日の国連人権理事会本会合で受け入れ可否を表明をします。

調査は、2017年9月20日から10月4日、飯舘村、浪江町の避難指示が解除された地域、および浪江町の帰還困難区域で行い、民家や森、道路などで合計数万カ所もの地点を測定しました。飯舘村の民家6軒は、2015年からの3カ年の経年調査です。浪江町の帰還困難区域では、2023年に人の居住をめざす「特定復興再生拠点区域(復興拠点)」に認定された津島地区や大堀地区を含み、民家3軒や道路などを調査しました(注4)。


調査結果概要

●飯舘村(避難指示解除区域)

・民家6軒のうち4軒では、除染完了後も、政府の除染基準(毎時0.23マイクロシーベルト)の3倍の放射線レベルが計測された。いくつかのエリアでは、放射線量が2016年より増加しており、周囲の森に蓄えられた放射性物質の移動など再汚染の可能性が考えられる。

・南部の民家で、政府の除染基準(毎時0.23マイクロシーベルト)を達成するのは、今世紀半ばごろと推定される。

  • 浪江町(避難指示解除区域)

・市街地の小学校周辺でも除染で十分に放射線量を下げることはできていない。小学校の向かいの森では、平均値毎時2マイクロシーベルト、最大毎時5マイクロシーベルトのホットスポットがあり、児童へのリスクが懸念される。

  • 浪江町 (帰還困難区域)

    ・2011年から2012年大規模なモデル除染の対象となった津島地区の民家では、最大値毎時5.8マイクロシーベルト、平均値毎時1.3マイクロシーベルトだった。これは除染の効果が非常に限定的であったことを示している。

    ・これらの地域で、毎時0.23マイクロシーベルトを達成するのは、来世紀に入ってからと推定される。

 

調査プロジェクトのリーダーであるグリーンピース・ベルギーのヤン・ヴァンダ・プッタは「除染が完了した飯舘村や、モデル除染が行われた浪江町の民家での調査結果から、浪江町帰還困難区域の放射線レベルが今後、劇的に下がるとは考えられません。除染の効果が非常に限定的になることが見込まれるにもかかわらず、2023年にこの地域の避難指示を解除することは、除染作業員への被ばくを含め、放射線防護の観点から容認できません。今回調査した地域の放射線リスクは、飯館村南部の民家では胸部レントゲンを毎週、浪江町津島地区の民家では3.3日ごとに受けるのと同等です」と述べました。

グリーンピース・ジャパン エネルギー担当の鈴木かずえは、「グリーンピースの調査結果は、避難指示が解除された地域であるにもかかわらず、国際基準であり日本でも定められている許容放射線量年間1ミリシーベルトをはるかに超えるエリアがあることを明らかにしました。特に放射線に対して感受性の高い女性や子どもへの影響が心配されます。政府は、対日人権審査で出された勧告を受け入れ、原発事故被害者の人権をまもるための措置をただちに講じるべきです」と訴えました。

(注1)『原発事故の写像ーー浪江町と飯舘村における放射線調査』

(注2)国際的な許容放射線量は、日本でも採用されてきた。東電福島原発事故後、政府は、年間1ミリシーベルトを被ばく線量の長期目標に設定し、そこから「毎時0.23マイクロシーベルト」の除染基準を算出している。なお、福島県の原発事故前のバックグランド線量は毎時 0.04マイクロシーベルト。

(注3)
UPR第3回日本政府審査・結果文書(暫定版)P14
国連人権理事会の対日人権審査で、福島原発事故被害者の人権問題に懸念 ーー日本政府は勧告の受け入れを(グリーンピース・プレスリリース、2017年11月14日)

(注4)調査の様子や、調査にご協力いただいた住人の方々の写真・動画
http://media.greenpeace.org/collection/27MZIFJXWRJCD

 

 

「第28回目放射線調査 ~福島県浪江町、飯舘村」はこちら。

※グリーンピースは、福島第一原子力発電所事故が起きた2011年3月末から放射線調査チームを結成、福島で放射能汚染の実態調査を行っています。
「グリーンピース放射能測定室 シルベク」

—————————————————————————-

2017年11月、スイス国連人権理事会UPR作業部会で日本政府に対し217もの勧告がだされました。そのうち、オーストリア、ポルトガル、ドイツ、メキシコは原発事故被災者対応について勧告しています。グリーンピースは、これまでの調査によって得られた知見を国連や人権関係機関にも報告してきました(くわしくはこちら)。

今後とも、人と環境をまもることに役立つ調査を行っていきます。

原発事故被害者の人権をまもって

住宅支援をうちきり、復興の名のもとに被害者に帰還を強いる政策は、原発事故被害者に対する人権侵害です。 昨年10月、グリーンピースは避難されている原発事故被害当事者の方とともに国連人権理事会加盟各国に現状を訴えました。11月には、4か国から日本政府に対し状況改善の勧告が出されました。
現在、この勧告を受け入れるよう政府に求める署名を実施中です。ぜひご協力をお願いします。

いますぐ署名する >

大切なご支援ありがとうございます。

グリーンピースは、東京電力福島第一原発事故が起きた直後の2011年3月末から放射線調査チームを結成し、福島で放射能汚染の実態調査を行ってきました。
こうした調査や活動は、全て市民のみなさまのご寄付のおかげです。
ありがとうございます。 一人一人のご寄付が、政府や企業からの援助を受けずに、独立した調査とキャンペーン活動を可能にしています。ぜひ、グリーンピースをご寄付で支えてください。

寄付する >

関連キーワード