世界に広がる金融の脱炭素化 引き続く邦銀の石炭への投融資にNGOが警鐘
RELEASE ENERGY 2018.04.09

世界に広がる金融の脱炭素化 引き続く邦銀の石炭への投融資にNGOが警鐘

4月10日より東京証券取引所で開催される、「RI(責任投資)アジア2018(Responsible Investor Asia 2018)」に先駆けて、環境NGO レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、 国際環境NGOグリーンピース・ジャパンおよび国際環境NGO 350.orgの日本支部(350.org Japan)の3団体は、世界の金融機関や投資家、事業会社の間で急激に広まっている「脱炭素化」への動きに対して、日本の銀行が遅れをとっていることについて喚起を促しました。

実質「ゼロ排出」を掲げるパリ協定には「資金の流れを低排出」にすることも明記されており、脱炭素経済への移行を促す取り組みが各業界で加速しています。経済の原動力である金融業界の動きにも大きな注目が集まっていて、特に投融資を通じて大きな影響をもたらす銀行の役割がとりわけ注視されています。欧米では、複数の主要銀行が気候変動の原因である二酸化炭素(CO2)を最も多く排出する化石燃料関連企業、特に石炭から投資撤退するダイベストメントを進めています。また、欧米の銀行は「パリ協定」の目標達成のために導入される化石燃料事業への規制強化に伴う化石燃料の「座礁資産化」のリスクを危惧しこのような事業方針のシフトを行っているとも言えます。CO2排出量が最も高い石炭は真っ先にダイベストメントの対象となります。

3団体は日本の金融機関、特に銀行の石炭離れが遅れているということに対して警鐘を鳴らしました。RANが協力団体とともに2018年の3月28日に発表した、世界主要銀行の化石燃料へ融資・引受状況をまとめた報告書『化石燃料ファイナンス成績表2018』では、邦銀は石炭火力および採掘に対する融資・引受方針においては、メガバンク3行はともにほぼ最下位の評価を受けています。世界の流れに反するかたちで、現に、邦銀は深刻な環境や人権問題を引き起こしている国内外の石炭関連事業や企業への巨額な投資・融資をし続けています。

「化石燃料ファイナンス成績表2018:日本の投資家、銀行、規制機関向け要約版」を発表したRANの責任ある金融シニアキャンペーナー ハナ・ハイネケンは「気候リスクへの対応が世界中で加速する中、日本のメガバンク3行は気候変動を最も悪化させている化石燃料や森林破壊関連部門へ多額の融資・引受を行い、逆方向に向かっています。銀行は融資等の方針をパリ協定に合致させるよう説明責任を果たし、気候リスクが最も高い化石燃料への全ての資金提供を停止する責任があリます。3行の筆頭株主である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)にも責任があります」と訴えました。

本日、グリーンピース・ジャパンが発表したブリーフィングペーパー 『潮流に逆行する日本の銀行:石炭投資と気候変動』について解説を行った、グリーンピース・インターナショナル エネルギー金融キャンペーナー マリナ・ロウと、グリーンピース・ノルディック 持続可能な金融キャンペーナー マーティン・ノーマンは、「日本の大手3行はポートフォリオの脱炭素化計画をいまだにまったく発表していません。これはOECD諸国の金融機関としてはすでに少数派となっています。本ペーパーによって3行の投資家に対し、石炭火力発電所に投融資を続ける金融機関に問うべき点を提案し、投資家と日本の金融機関の両方への働きかけを今後も継続していきます」と語りました。

3メガバンク宛に石炭火力発電・採掘事業への新規融資の中止を求める署名を4月下旬に打ち出すと発表した、350.org Japan代表の古野真は「パリ協定に整合し、世界の平均気温の上昇を1.5-2度未満に抑えるには、石炭火力発電所の新たな建設は許されません。将来世代に住み良い地球環境を残すために民間銀行に社会的責任があります。地球環境や社会に配慮した銀行業務を行うよう、メガバンクに対して石炭火力発電事業および石炭採掘事業への新規融資を中止し、持続可能な開発を支えるビジネスへと資金の流れを移行するよう求めていきます」と述べました。

今年の「RIアジア2018」の会議には「気候変動への協働と低炭素経済への適応」をテーマとするパネルディスカッションなどが組み込まれていて、それは金融の脱炭素化が極めて重大な課題だということを物語っています。3団体は引き続き、邦銀に対して、パリ協定に配慮した銀行業務を求めていくという意気込みを露わにしました。

資料ダウンロード:
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN):
「化石燃料ファイナンス成績表2018」日本の投資家、銀行、規制機関向け要約版

グリーンピースジャパン:
『潮流に逆行する日本の銀行:石炭投資と気候変動』– ブリーフィングペーパー 

350 Japan:
石炭火力発電事業及び石炭採掘事業への新規融資に関する要請

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