グリーンピース新調査:台湾の大手水産商社、人権侵害に関与 グローバルなサプライチェーンに深刻な影響
RELEASE 2018.05.25

グリーンピース新調査:台湾の大手水産商社、人権侵害に関与 グローバルなサプライチェーンに深刻な影響

国際環境NGOグリーンピース・東アジアは24日(台北時間)、新レポート『Misery at Sea(海上の悲劇)』を発表し、大手水産商社 Fong Chun Formosa Fishery Company(FCF)を含む、台湾の遠洋漁業の人権侵害への関与が明らかとなりました。これは、台湾水産業者のグローバルなサプライチェーンに深刻な影響を及ぼす事態であり、台湾政府が人身売買や強制労働の取り締まりを怠っている現状も明示しています。

グリーンピース・東アジアが発行する本レポートのグローバル主席調査員を務めるイ・チャオ・リーは、「台湾漁船上の移民労働者を保護する目的で、2017年初めに法改正がありましたが、1年以上にわたる調査を行なった結果、今もなお人権侵害がはびこる台湾の水産物サプライチェーンの実態が明らかとなりました」 と述べました。

リーはまた、「劣悪な労働環境のもとで獲られた水産物が、アジアや欧米の寿司店や家庭の食卓に出回っている高い可能性があります。台湾の水産業界に弁解の余地はありません。悪しき慣習を根絶するため、今すぐ取り組むことが強く求められます」と指摘しました。

本レポートの中で、台湾およびニュージーランドの調査員が明らかにしたのは、有罪判決を受けた人身売買組織ジャイアント・オーシャンのメンバー5名が、公然と台湾に居住しているという現状です。彼らは亡命者とみなされていますが、少なくとも数名が依然として移民労働者の斡旋に関与し続けています。移民の大半は東南アジアから流入しており、台湾漁船に乗せられています。台湾当局はこの事態を完全に把握し、かつ認めているのです。

台湾の労働者権利団体Yilan Migrant Fishermen Union(YMFU)より提供された資料には、無惨な光景を捉えた写真や映像が含まれており、インドネシア人漁船員スプリヤント氏の死にまつわる事実が確認できます。同氏は、健康でまだ若いともいえる年齢の男性でしたが、台湾漁船Fu Tsz Chiunでの就労開始からわずか4カ月後に苦しみながら亡くなりました。提供された資料には、スプリヤント氏が暴力などの虐待を受ける痛ましい様子が収められていますが、台湾当局は彼の死について適切な取り調べを行わず、加害者が起訴されることもなく、釈然としない結論でした。被害者の状態が悪化しているにも関わらず、同漁船は通常運転を続け、彼の死後数日もそうした状況が続いていたという事実も衛星データより明らかになっています。台湾漁業署は、彼の死因は単なる病だと主張しています。

本レポートには、バヌアツにて登記された台湾所有の漁船ツナゴ第61号上で起こった2016年の船長殺人事件に関して、刑務所での聞き取り調査に基づいて行われた調査の内容も含まれ、この事件に関する新たな事実が浮き彫りになっています。グリーンピースの調査員に対して服役中の乗組員6名は、船長殺人に至るまでの何か月もの間、休日もなく1週間毎日20時間以上の労働を強要されることが頻繁にあったと話しました。乗組員らは、身体的虐待や言葉による暴力を繰り返し受け、睡眠時間を奪われ、ろくな食事も与えられず、差別的扱いを受け、命の危険も感じていたといいます。

本レポートでは、台湾の水産業における低コストのビジネスモデルや、法律および制度の枠組みに内包される慢性的な欠陥が分析されています。こうした状況が要因となり、違法・無報告・無規制に行われる漁業(略称:IUU漁業)や人権侵害強制労働が日常茶飯事となっている環境が生まれています。

台湾政府は2015年、EUにより「イエローカード」の警告を受けました。国際基準を無視したIUU漁業の廃止に向けた取り組みに対する非協力的な態度が原因です。今年9月にはEU当局が台湾の状況を再度評価し、警告レベルを上げるか否かを決定する予定です(注1)。

本レポートには、FCFの役割に関する調査も含まれます。FCFは世界三大水産商社の一つで、日本(注2)欧米市場との強い繋がりをもちます。同社は上記3件の調査内容のうち2件への関与を示唆されており、仕入れ元となる漁船における児童労働、強制労働やその他虐待を禁止するという同社のCSR方針とは矛盾しています。

台湾政府は、こうした事実に関する綿密な調査を約束すべきです。また、労働者と人権を保護する法律を制定し、確実に全面実施する必要があります。FCFなどの企業は、直ちにビジネスモデルを見直し、水産業界の一部に蔓延する人権侵害や劣悪な労働条件を確実に根絶するための手段を講じるべきです」と、イ・チャオ・リーは指摘しました。

 

注1)EUによるイエローカードまたは警告は、対EU水産物輸出国がIUU漁業に対策を講じる必要がある際に出されます。 対策を怠れば非協力国とみなされ、レッドカードの制裁を受けます。

注2)グリーンピースのサプライチェーン分析によると、FCFとFCNは、日本市場に水産物を供給しており、次の企業を含みます。サプライ、東洋冷蔵、八洲水産、伊藤忠、FCN、カネトモ、日本水産、丸文水産

レポート 英語版:Misery at Sea – Human suffering in Taiwan’s distant water fishing fleet (※日本語版は来月公開予定)

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