水産資源の持続的な利用を推進する NGO など 8 団体が 「IUU 水産物の輸入及び国内における漁獲・流通の防止策に関する共同提言」を表明 ~日本政府が導入すべき制度を具体化して提案~
RELEASE OCEAN 2018.06.01

水産資源の持続的な利用を推進する NGO など 8 団体が 「IUU 水産物の輸入及び国内における漁獲・流通の防止策に関する共同提言」を表明 ~日本政府が導入すべき制度を具体化して提案~

IUU 漁業対策フォーラム(WWF ジャパン、株式会社シーフードレガシー、セイラーズフォーザシー日本支局、国際 環境 NGO グリーンピース・ジャパン、オーシャン・アウトカムズ、トラフィック、ザ・ネイチャー・コンサーバンシー、 GR Japan株式会社)は、深刻化する IUU(違法・無報告・無規制)漁業対策として日本政府が導入すべき対策、制 度のあり方を提案するものとして、「IUU 水産物の輸入及び国内における漁獲・流通の防止策に関する共同提 言」を発表しました。

国内外の規則を遵守せずに行う違法・無報告・無規制(IUU)漁業は、世界の持続可能な水産資源管理にとって 脅威であるとともに、正規の漁業者を不公平な競争にさらすものとして大きな国際問題になっています。主要先 進国が規制やトレーサビリティ確保に対して積極的に取り組む中、世界最大級の水産資源大国である日本は他 国に遅れをとっているのが現状です。IUU 漁業対策フォーラムでは、早急に IUU 水産物の輸入規制と国内におけ るトレーサビリティの確保について対応すべきだと考えます。

IUU 漁業対策フォーラムは 2017 年 9 月の発足時に、今後必要な取り組みとして「IUU 漁業の廃絶及び IUU 水 産物の国内市場における流通防止に向けた共同提言」を表明しました。今回はより具体的な制度設計のあり方 を提案しています。詳細は提言書をご参照ください。


2018年6月1日

IUU漁業対策フォーラム

IUU水産物の輸入及び国内における漁獲・流通の防止策に関する共同提言

違法・無報告・無規制(IUU)漁業による日本の漁業者への影響が昨今顕著化しています。外国のスルメイカ漁船の違法操業により、日本の漁業者が漁場の変更や漁の中止に追い込まれているほか、北太平洋沖では外国漁船の違法操業によりサバなどの乱獲の問題が指摘されています。

また、シラスウナギやナマコなどの国内における違法流通や密漁の問題も指摘されているほか、昨年には日本で流通する水産物についてIUU漁業のリスクが高いものが多くあるとの研究結果も発表されました。こうした不正または不透明な水産物の流通は持続可能な水産資源の利用を脅かし、我が国の水産業への国際的な信頼を低下させるほか、日本で合法的に漁業に従事している漁業者を不公平な競争にさらすものとして懸念されています。

昨年より開始された規制改革推進会議における漁業の成長産業化に向けた検討の中では、水産物流通におけるトレーサビリティの確保やIUU漁業等の不正な漁業への対応が検討されています。また、安倍内閣総理大臣は2018年5月の講演で、違法に乱獲されている海洋水産資源が過去40年に3倍に増加している旨言及しています。このようなIUU漁業の撲滅には、我が国の管轄水域における漁業取締りを強化することに加えて、不正に漁獲された水産物の流通を防止することが重要です。また、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、持続可能な水産物の調達について関心が高まっています。

世界の水産市場において、IUU水産物の排除やトレーサビリティの確保が必須条件となりつつある中で、水産業の日本経済及び地域社会に対するさらなる貢献を目指すにあたっては、我が国においても早急にIUU水産物の流通防止及び水産物流通におけるトレーサビリティの確保を図ることが重要です。また、こうした取組をIT化と併せて導入することにより、正確・迅速な漁獲量把握に基づく、水産資源のより公平な数量管理の実現、水産関連事業者の業務の効率化や、消費者へのより多くの情報の伝達など多くのメリットが期待されます。

以上を踏まえて、私たちは、日本政府が以下の制度を導入することが必要と考えております。

  • 海外で漁獲されたIUU水産物の日本市場への流入を防ぐため、輸入時にIUU漁業に由来しないことを確実とする制度
  • IUU漁業に由来する水産物の日本市場における流通を防ぐため、国内において水産物のトレーサビリティを確保する制度

上記の制度を国内で導入し、国際的な連携をすることで、国内外のサプライチェーン上の一貫したトレーサビリティを徹底することのできる体制を確立することを目指すべきと考えます。

なお、それぞれの具体的な制度設計のあり方として、以下提案いたします。

IUU水産物の輸入規制について

(日本政府への報告・確認)

  • 水産物の輸入の際に、漁獲・陸揚げ・池入れ情報(魚種名、重量、漁船情報、漁法、漁獲水域、漁獲日、陸揚げ港等)及び輸入に至るまでの取引に関する情報が電子的な方法で政府に報告されること
  • 当該輸入水産物がIUUでないことの確認が適切に行われること(その際、旗国政府認証の漁獲証明書の提出、輸入業者による確認など海外の事例を参考にすること。また、執行に必要な予算・人員を適切に確保すること)

(制度の対象)

  • 全魚種を制度の対象とすること。ただし、I UUのリスクが高い魚種(マグロ類、カニ類、ウナギ類、ヒラメ・カレイ類、イカ類など)については、優先して制度の対象とすること
  • 養殖(及びそれに用いる餌の原料)及び加工品も制度の対象とすること

(国際的な連携体制の確立)

  • 輸入水産物について政府に報告される情報の正確性を担保するために、ガバナンス体制が不十分な国に対しては、政府間協議を通じて当該国において適切な漁業及び水産物流通の管理体制が整備されるよう働きかけること
  • 記録・報告内容が国際的に整合性のとれたものとするための国際的な取組との連携を図ること

国内におけるトレーサビリティの確保について

(国産水産物の政府への漁獲報告制度の精緻化)

  • 国産水産物について、大臣許可漁業だけでなく、知事許可漁業も含むすべての魚種を対象として漁獲・陸揚げ・池入れ情報(魚種名、重量、漁船情報、漁獲水域、漁獲日、陸揚げ港等)が電子的な方法で速やかに政府に報告されること

(報告情報の正確性担保)

  • 個人情報に留意しつつも、漁業者と市場関係者の双方に報告を求めること、第三者による確認可能なシステムを導入すること、漁船にVMSを設置することなど、政府に報告される情報の正確性を担保すること

(情報の記録・伝達)

  • 国産水産物及び輸入水産物について、漁獲・輸入から小売までのサプライチェーン上の事業者間で、水産物のロットごとの漁獲・陸揚げ・池入れ情報が伝達される仕組みを作ること
  • サプライチェーン上の事業者は水産物の入荷先及び出荷先情報の記録・保持を行うこと

(制度の対象)

  • 全魚種を制度の対象とすること。ただし、I UUのリスクが高い魚種(マグロ類、カニ類、ウナギ類、ヒラメ・カレイ類、イカ類、ナマコ類など)、取引価格の高い魚種、取引量の多い魚種といった要素を考慮して優先的に制度の対象とすること
  • 養殖(及びそれに用いる餌の原料)及び加工品も制度の対象とすること

 (事業者の負担軽減)

  • 水産物の情報の伝達・記録については、政府による統一データベースの構築や事業者によるITシステムの導入支援などにより、事業者の負担の軽減を図ること
  • 漁業者や企業のトレーサビリティへの対応を支援するために、研修の機会などを設けること

また、これらの制度の検討にあたっては、十全な執行を担保するために必要な措置について考慮するとともに、2020年までを目途として安定的な新たな財源を確保したうえで、IUU漁業に由来する水産物の日本市場での流通を防ぐための輸入規制や国内トレーサビリティ対策の充実を図る必要があるものと考えております。当該検討を促進するために、漁業者、水産関係事業者、研究者、NGOなどのステークホルダーとのオープンな協議の機会を設けることを要望いたします。

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