橋本内閣総理大臣に再処理と高速増殖炉路線を断ち切るよう要請
RELEASE ENERGY 1997.06.20

橋本内閣総理大臣に
再処理と高速増殖炉路線を断ち切るよう要請

グリーンピースは本日、橋本龍太郎首相にあてて、「フランスでの再処理中止と日本の高速増殖炉放棄に関する要請」および「英仏海峡の放射能汚染問題の原因である放射性廃棄物処理策提示の要請」を送った。
添付資料:「フランスでの再処理中止と日本の高速増殖炉放棄に関する要請」

フランスのCOGEMA(核燃料公社)が運転するラ・アーグ再処理工場では、この間周辺での小児白血病の多発や、周辺河川での高いレベルの放射能検出などが伝えられていた。グリーンピースはこの工場の排水口から基準値を超す放射能が排出されていると疑い、この排水口周辺の海水のサンプリング調査を行なった。その結果、自然環境の1700万倍もの放射能を検出した。

これは由々しき事態であり、グリーンピースはラー・アーグ再処理工場の運転停止および再処理そのものの停止を求める。
ラ・アーグ再処理工場に再処理を委託しているのは、日本、ドイツ、ベルギー、スイス、オランダなどである。しかしその大部分は日本とドイツで、日本だけで再処理委託量の3分の1に達する。

したがって排出された高レベルの放射能の3分の1は、日本の排水ということもできる。

この排水の放射能レベルはあまりに高く、厳重に管理されるべき中レベル放射性廃棄物のレベルにある。グリーンピースでは、この排水を、責任を負うべきそれぞれの国に返還し厳重な管理を依頼したい。橋本総理への書簡はその依頼である。

さらに昨日、フランスでは高速増殖炉スーパフェニックスの閉鎖、廃棄が決まった。
これにはフランスでの政変という理由もあるが、すでに1994年に高速増殖炉としての運命はつきており、単なる高速炉(プルトニウム専焼炉)として存続できるかどうかの問題だった。
これに対しても今年2月国務院(フランスの最高裁判所)によって、高速炉としての運転認可も取り消されており、今回のジョスパン首相の表明はこの流れを確定的にしただけである。

問題は日本である。動燃の相次ぐ事故、不祥事にもかかわらず、科学技術庁はまだ高速増殖炉もんじゅの運転をあきらめていない。再処理工場の爆発を目の当たりにしても、核燃料サイクル路線を堅持するという表明を行なっている。
彼らは完全に時代と世界に逆行している。さらに酷いことに、そのことを認識できない。

スーパーフェニックスの帰結は、あのフランスでさえ、安全性と経済性および技術の客観的評価を行なうシステムが機能していることを示している。
同じような評価システムが日本には存在していない。
いま私たちは地球温暖化による気候変動への対処という急務の課題に直面しているが、10年後、20年後に現実的なエネルギー政策を確立しなければならないときに、旧態依然のプルトニウム利用政策にしがみついている限り、日本はエネルギーの枯渇に直面することになるだろう。

総理への要請の後半部はこれをふまえて、再処理や高速増殖炉という希望のない営みを断ち切る総理の英断を促したものである。

フランスでの再処理中止と
日本の高速増殖炉放棄に関する要請

急啓、時下益々ご清栄の段お喜び申し上げます。

現在、総理がデンバーにおいでであることを承知で、危急の要件のため総理官邸に連絡を差し上げさせていただきます。
私どもは、デンバーへお出かけ前にもお手紙を差し上げた、国際環境保護団体グリーンピースです。グリーンピースは全世界の33ヶ国に支部を有し、地球温暖化をはじめとする地球環境問題に取り組んでおります。

その一つフランスから、二つのニュースが飛び込んできました。
一つは日本の電力会社が使用済核燃料の再処理を委託しているフランスCOGEMA社のラ・アーグ再処理工場の排水口付近のサンプリング調査をグリーンピースが行なったところ、自然環境の1700万倍もの放射能を検出したというニュースです。

これに関連してグリーンピース本部から総理への緊急の書簡が送られてきました。緊急にご回答を要請する内容であり、デンバーよりご判断をしていただきたく、そのままお届けさせていただきます。

もう一つは、フランスの高速増殖炉スーパーフェニックスの閉鎖、放棄のニュースです。フランスのジョスパン首相は「経費が高すぎ、成功が確実でないようなプロジェクトを続けていくべきではない」ときっぱり言っています。

これにひきかえ、日本ではナトリウム漏れ火災事故を起こした高速増殖炉「もんじゅ」を、まだ動かそうとしています。ほとんど見込みのない技術のためにさらに巨額の投資を続けるということです。
動燃の度重なる事故や不手際を目の当たりにしてなお、科学技術庁はいささかの路線変更も考えていないようです。

海外では、産業構造やライフサイクルの見直し、エネルギー効率の向上や省エネルギー、そして太陽光や風力などの再生可能エネルギーへの転換を視野に入れ、開発方針や予算措置の変更がはじまっています。
旧態依然のプルトニウムにしがみつく日本では、やがてエネルギーの枯渇する日が来るでしょう。

私たちは今こそ総理が大英断をふるって、再処理と高速増殖炉という、希望のない営みを断ち切っていただくよう要請いたします。

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