環境に悪影響を脅かすプルトニウム輸送船が国民の了解もなしに北日本沿岸を通過する
RELEASE ENERGY 1999.09.28

環境に悪影響を脅かすプルトニウム輸送船が
国民の了解もなしに北日本沿岸を通過する

【東京発】

危険な核兵器級プルトニウムMOX燃料をのせている輸送船が、今日にも津軽海峡を通過する見込みであるとグリーンピースは警告を出した。

武装した2隻の輸送船パシフィック・ピンテール号とパシフィック・ティール号(ともに英国船籍)は、現在ピンテール号に約225キロの核兵器に転用可能なプルトニウムが含まれている0.5トンのMOX燃料を積んだ状態で、月曜日午後福島沖を出発し、福井県にある高浜原子力発電所に向かっている。
高浜到着は、金曜日の朝だとみられている。

12時現在グリーンピースが確認したところによると、核燃料輸送船はまだ津軽海峡には到達していないが、午後遅くには津軽海峡にさしかかると思われる。

昨日、グリーンピースのアークティック・サンライズ号に対し、海上保安庁が何隻もの船を派遣し、同船の日本の領海に入る権利を損害しようとした中、福島第一原子力発電所専用港に到着したパシフィック・ティール号は、MOXプルトニウム燃料を荷下ろしした。
ヨーロッパから日本へ始めて到着する核兵器級MOXプルトニウム燃料の到着を「目撃する」意志を前から表明していたにもかかわらず、海上保安庁はグリーンピースに対して日本領海内に入らないよう伝えてきていた。

青森県、北海道の沿岸から3~7マイル離れた沖を通過する可能性が高く、津軽海峡を抜けるには、約7時間がかかると思われる。この時に、英国原子力庁(United Kingdom Atomic Energy Authority)の武装した部隊が船の警備をし、海上保安庁はサポートの役割のみを果たすとグリーンピースは確信している。

当初は、先に高浜に荷降ろしすることも検討してはいたが、対馬海峡を通過する事に対して韓国からの強い反対を受けたため、むりやりに予定を変更した。

「この先10年間、ヨーロッパから80回までこのような輸送が行われる可能性があり、津軽海峡のような狭い海峡を通過することは、それだけ事故の確率も高くなりますし、輸送ルートに面した沿岸国よりも、余計に環境汚染および核事故の被害を受ける危険性が高くなるといえます。
ところが、北海道民や青森県民にはこのことについて十分な情報も提供されていないばかりか、この津軽海峡輸送に関して、なにも発言権を与えられていません。
輸送ルートに面する諸国からあいついで批判の声があがっています。日本政府はこれを無視しているばかりか、自国北日本の人々の人権をも軽んじているといえます」と
サンライズ号に乗っているグリーンピース・ジャパンの鈴木かずえは語った。

この輸送に対する反対の声を表明した国々は、何十国もある。先週、ミクロネシア連邦の外務大臣であるレオ・ファルカム氏(Leo A Falcam)がニューヨークで行われた国連総会で
「…事故やテロリストによる攻撃の可能性がある。起こったら、わが国民と太平洋の海洋環境に及ぼす結果は破壊的になる… この状況には不満を感じ、日本政府にコンタクトをとった」と発言した。

また、以前南太平洋で行われたフランスの核実験に対しても反対の意思表明を行ったフィジー政府も、今回のプルトニウム海上輸送に激しく反対し、輸送船がフィジー領海内に入らないよう、意思表明を行った。
しかし、プルトニウム産業は、輸送ルートに面した諸国の懸念に対しては徹底的に無視する策をとり、輸送船のオーナー(Pacific Nuclear Transport Ltd)の代表であるグラハム・ベーツ氏(Captain Graham Bates)が
「自由に航海することに干渉する権利は誰にもない。必要と判断した場合には、フィジーの領海にも入る」といっている。

「今回、日本の原子炉で使用されようとしているプルトニウムMOX燃料は1~3週間で核兵器に転用でき *1、60個の核爆弾が作れるといいます。*2
使用自体に反対だし、これほどの重大なエネルギー政策の転換が国民の議論なしに行われることに、憤りを通りこして恐れを感じる。国民一人一人に、これでいいのか、プルトニウムを使い始めて本当にいいのかと問いたい」
アークティック・サンライズ号に乗船しているグリーンピース・ジャパンのキャンペーナー鈴木かずえは述べた。
*1:国際原子力機関(IAEA)の定義によると、このプルトニウム燃料は「分類1」つまり、核兵器への「直接的使用」可能な物質であり、IAEAは、核爆弾製造に要する時間は1~3週間としている。
*2:今回のプルトニウムの量は推定446キログラム

アークティック・サンライズ号は、プルトニウム輸送船の動きを監視し、本日中に津軽海峡を越える予定である。

グリーンピースはプルトニウムMOX燃料の使用を主に以下の理由で反対している。

輸送時に事故が起これば取り返しのつかない環境汚染を引き起こすこと
既存の原子炉でのプルトニウムMOX燃料使用はより危険であること
日本のプルトニウム計画は東アジアの軍事的緊張を増大させること
プルトニウムMOX燃料の使用済燃料の処分方法が全く確立していないこと

グリーンピースは以下を要求している。
プルトニウム再処理を放棄すること
原子炉でのプルトニウムMOX燃料の使用を中止すること

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