東海村臨界事故政府の判定よりも被曝した人の数は多い
RELEASE ENERGY 1999.10.07

東海村臨界事故
政府の判定よりも被曝した人の数は多い

【水戸市】

グリーンピースは、10月3日から5日にかけて現地調査を行った。その結果、東海村でのウラン加工工場の臨界事故によって被曝した人の数は、政府が公表している人数よりもかなり多いとみている。これは、高レベルの放射線が出たことと、避難勧告が遅れたことによるものである。

現段階でグリーンピースが掴んだことは、

放射性物質が大気中に放出された証拠を見つけたこと、
避難勧告が解除されてから24時間たった後にも、工場近くの公道で高い空間線量が確認されたこと、
高いレベルの中性子線が出ていた証拠を見つけたこと
である。

「東海村の臨界事故現場周辺の放射線レベルと汚染の程度を、政府ではない第三者機関として調べるために、この調査を実行した」と、
グリーンピース・ジャパン事務局長志田早苗が言った。
そして、
「この結果をみると、日本政府の原子力の安全と非常事態計画及び核産業全体の安全に関する疑いが高まってくる」とつけ加えた。

約20時間にわたる臨界事故中、事故現場から少なくとも半径500mの圏内には、高いレベルの中性子線が放出されたとみられる。(この結論は、原子力資料情報室が分析し、支持している)
このエリアに公道、170軒以上の民家、ゴルフ場や畑などがある。

事故発生から6時間半以上経つまで、工場の経営者であるジェー・シー・オー社も政府も中性子探知器を利用しなかった。しかし、グリーンピースの調査チームは、工場の近くにある民家から食塩のサンプルを提供していただき、これを分析することで総線量を判定することができた。
食塩が中性子線を浴びると、放射性同位元素であるナトリウム24が生成される。こうして計測できた放射性同位元素の量を元に、事故中に放射された中性子の量を計算することができる。

「食塩が中性子線を浴びたのと同様に、事故現場の近くにいた人々も中性子線を浴びていたことになる」と、
調査チームのリーダー、核物理学者であり放射線防護の資格を持ったディードリック・サムソンは言う。

「事故発生から10分後には、臨界(核の連鎖反応)が起きたと判断されたのだから、中性子線を避けるために周辺地区に対しては即時に避難を呼びかけるべきだった。ところが、避難勧告が出されたのは、それからさらに約4時間半後であった」

また、グリーンピースの調査の結果、工場の近くで採取した植物と土のサンプルの中に相当なレベルのヨウ素131とヨウ素133もみつかった。これは、事故の結果、放射性降下物があったことを証明する。
ヨウ素133の半減期は短いため、別の原因は考えられない。しかし、サンプルの中の非揮発性放射性物(例:セリウム144)がなかったことから、事故によって環境に放出されたものは、気体と揮発性の物質に限られたと推定する。

「今回の事態は、ただ単に運が良かっただけである。もし、ウランの入ったタンクが破裂すれば、放射性物質が完全に環境中に放出されただろうが、幸いにもそれほどではなかったという結論が得られ、ほっとした」

「しかし、私達の得た結果、降下物があったことが分かったのである。正確な放射能レベルなどについて、近くに住んでいる人々にもっと情報を与えるべきである。工場の周辺地区の汚染のレベルについての全面的な調査を当局は行うべきだ」と、サムソンは言った。

また、中性子が放出されていた間に工場の近くにいた人全員を対象にした、長期的な健康モニタリング調査を実施するよう、グリーンピースは政府に要請する。
まずは、中性子線にさらされた可能性のある人々の登録を直ちに行うべきである。

「原子力産業が安全性を軽視していることがこの事故によって明らかになった」と核問題担当部長ショーン・バーニーが言った。

「安全性の軽視は、東海村だけのことではなく、4日、韓国の慶尚北道の月城原子力発電所3号機(出力70万kw)で夜、冷却水ポンプを整備中に重水が漏れ出す事故があり、作業員二十二人が被曝する事故があった。高速増殖炉を含め、日本政府が、原子力計画をやめ、エネルギー政策をエネルギー効率の高い再生可能なエネルギーに変えるべきである」

調査結果の詳細及び解説はグリーンピースインターナショナルのホームページでみることができます。(英語)

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