東海村の臨界事故現場からの訴え、実現せず
RELEASE ENERGY 1999.11.29

東海村の臨界事故現場からの訴え、
実現せず

グリーンピース・ジャパンは、11月26日午後、臨界事故を起こした茨城県東海村の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー(JCO)」東海事業所の塀に、風車と太陽の絵とともに、「原子力から撤退を!」のメッセージをペイントしようとしたが、過剰な警備によって阻止され、実施することができなかった。

警備陣の出迎え1時30分ごろ。JCOの敷地に面した臨界事故を起こした転換試験棟に最も近いと思われる、国道32号線に面した敷地境界の塀際。
現場周辺では、パトカー数台と、覆面パトカー、茨城県警の職員数十人が、グリーンピースのスタッフが到着するのを待ちかまえていた。共同通信の報道によると、数十名、とのこと。塀越しには外の様子をうかがうJCO社員の姿も。グリーンピース・ジャパンのスタッフは、6名。明らかに過剰警備である。
スタッフが車を降りようとするのを遮るので、サンルーフを開けて、プラカードを掲げ、塀越しに見守るJCO社員にもチラシを手渡した。

グリーンピースがペイントを予定したのは、事故を起こした転換試験棟近くの公道に面した塀で、10月3日にグリーンピース・インターナショナルの調査チームが空間線量を測定し、0.54マイクロシーベルト/時を記録した場所。同日に近郊で測定したバックグラウンドの値は0.06マイクロシーベルト/時であり、塀(敷地境界)ではその9倍だったことになる。

また、10月4日には、事故現場から推定165~175メートル程離れた民家から食塩の提供を受け、臨界事故によって生成したナトリウム24を計測し、その値から、臨界収束時には、およそ毎時1ミリシーベルトの放射線が存在したことを推定し、10月8日にその結果を発表している(科学技術庁が推定被ばく線量を公表したのは、その27日後の11月4日)。
その結果から、10月14日、住民の登録と長期的健康調査を厚生省、科学技術庁、県に要請した。

その後、県は半径350メートル内の住民・同区域内の企業社員などの登録を開始したが、グリーンピース・ジャパンでは、中性子線が人に与える影響が解明されてないこと等から、半径350メートル内では狭すぎ、また、居住者だけでなく、事故当時の通過者や畑作業者なども含めるべきとしている。

グリーンピース・ジャパンはその後、10月31日、11月17日にも現地を訪れ、東海村村民聞き取り調査を行なった。その結果、臨界が起きたとされる9月30日午前10時35分ごろに、事故を起こした転換棟に最も近い公道を車両で通過した方に出会った。この人は、上記の県の登録対象には漏れている上、現在体の異常等を訴えているにもかかわらず事故との因果関係を調べるための手がかりさえ失われている。

パトカーぞろぞろ2時ごろ。JCO周辺の状況を確認するため車を移動させると、パトカーと覆面パトカーがぞろぞろとついてきた。また、農地のところどころに、覆面パトカーが待機しているのが確認できた。これらの「尾行」は、スタッフの乗った車が常磐道水戸インターを過ぎるまで続いた。このあと、常磐線東海村駅前でアピール行動を行った。

住民の被ばく量を過大評価する必要はないが、根拠のないままの安全宣言は、住民に必要以上に不安を与える原因となっている。グリーンピースは、公正な調査と、その結果公開のため、独立機関による徹底した調査を要求する。同時に、国民に被ばくをもたらす原子力からの撤退を求める。

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