ヨハネスブルグ地球サミット準備会合における日本政府発言・提案の問題点
RELEASE ENERGY 2002.05.08

ヨハネスブルグ地球サミット準備会合における日本政府発言・提案の問題点

本文

今年8月のヨハネスブルグ地球サミットでは、アジェンダ21の実施を促進するた めの合意文書である「世界実施文書(Global Implementation Document)」が採 択される予定である。この「世界実施文書」は、これまでの準備会合で検討され てきた議長ペーパーが素案となる(第3回準備会合時の 議長ペーパー)。

3月25日~4月5日にニューヨークで開かれた、第3回 ヨハネスブルグ地球サミッ ト準備会合で、日本政府は、この議長ペーパーの「エネルギー」分野に関して、 次のような発言や提案を行った。日本政府のこれらの発言は、気候変動や貧困の 問題に国際社会が推進すべき持続可能なエネルギーの拡大と逆行するものである。

1 原発に固執する日本政府

準備会合では、各国でエネルギー使用全体に占める再生可能エネルギーの割合を 高めることについて、この議長ペーパーの:

より環境負荷が少なく効率の高い化石燃料技術の開発と革新的な技術によってエ ネルギー供給を多様化し、全ての国で2010 年までに再生可能な新たなエネルギ ーがエネルギー使用全体に占める割合を少なくとも5%まで引き上げる。

をめぐって、目標や方法を合意する議論があった。

日本政府は“再生可能エネルギー”を“非化石エネルギー[Non-fossil]”とす る提案をした。日本政府のこの提案は、原子力発電を含むという主張*であり、 すなわち再生可能エネルギーの普及を阻む危険がある。日本政府は“再生可能エ ネルギー”を支持するべきである。
*)後に環境省と外務省に確認したところ、原子力発電に余地を残す表記を求め る意図であることを認めた[4月15日の環境省・外務省によるヨハネスブルグ地 球サミット準備会合の説明。於:衆議院第二議員会館])。

2 “弊害のある補助金”の維持を求める日本政府

また、エネルギー等にかかわる補助金等の政策については、
税制改革と弊害のある補助金の段階的廃止を含め、エネルギー部門における市場 の歪みを軽減する政策を採用する(3月の議長ペーパーの5(n)項)。

をめぐって議論があった。

日本政府は、“弊害のある補助金の段階的廃止”を削除するよう求める提案を行 った。
日本は、原子力や、廃棄物焼却を元にしたごみ発電など環境を破壊するエネルギ ー源に、政府が多額の補助金をつぎ込んで促進してきた。このことがまさしく、 再生可能エネルギー促進のための弊害となってきた。ヨハネスブルグ地球サミッ ト準備会合は、今後世界の人々が持続可能にエネルギーを享受する方向をめざす 国際的な合意を準備する場である。日本政府は、“弊害のある補助金”政策を維 持するために、国際社会において再生可能エネルギーの普及を阻むような提案を すべきではない.

3 目標年、目標数の設定に後ろ向きな日本政府

「貧困の撲滅」の分野においても、エネルギーに関する目標が議論された。

現在、近代的なエネルギー関連サービスを利用することのできない20 億人の半 分の人々が、2015 年までにそうしたサービスを受けられるようにするため、農 村の電化や分散型エネルギーのためのシステムを通じ、[…中略…]農村・都 市周辺地域における近代的エネルギー関連サービスへのアクセスを向上させる。

という議長案をめぐる議論で、
日本政府は[20億人の半分の人々が]「2015年までに」という目標数や目標年の 記述を削除することを提案した。 国際社会がより持続的なエネルギーを広範に共有する目標をもとうとするとき*)、 それに逆行して目標を曖昧にするような提案を日本政府は慎むべきである。
*) 参考:2000年の沖縄サミットで設置の決定されたG8再生可能エネルギータス クフォース報告書の勧告(2001年7月)でも、近代的で信頼性のあるエネルギー を享受できない途上国の20億を超える人々の状況が改善するためには、10年余り にわたる継続的な行動とG8諸国によるコミットメントが必要であるとしている。

地球温暖化問題について詳しい情報は
グリーンピース・ジャパン地球温暖化問題サイト
原子力発電問題について詳しい情報は
グリーンピース・ジャパン核問題サイト
をご参照ください。

以上

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