グリーンピース・プレスブリーフィング巨大石油会社が、ホワイトハウスのイラク攻撃を後押し
RELEASE OTHERS 2003.01.28

グリーンピース・プレスブリーフィング

巨大石油会社が、ホワイトハウスのイラク攻撃を後押し

石油王にとって今ほど至福の時はないだろう。車を満タンにするために人びとはどんどんカネを払い、石油王はそのあり余るカネでどんな環境対策も買収することができる。利権が脅かされれば、「石油の味方」ジョージ・ブッシュに軍隊を出動させてもらい、戦争をおっぱじめてもらえばいい。しかし、ここでひとつ訊きたいことがある。2,000億ドルの出費と予測できないほどの数の犠牲者が兵士と民間人に出た後、はたして世界はより安全な場所になるのだろうか。それともただ石油王にとって住みやすい場所になるだけなのだろうか。

うさん臭い石油コネクション

オーストラリアのアデレードで Exxon Mobil に抗議するグリーンピース
〜 Greenpeace/Standbury
“オイルマン”ジョージ・ブッシュがホワイトハウス入りして以降、ブッシュ政権は9・11のはるか以前からアメリカのエネルギー危機を謳ってきた。このエネルギー危機を裏付ける証拠はほとんどないのだが、ブッシュはこれを自らの政策の基盤としてきた。

運良くイラクには世界第2位の石油埋蔵量がある。湾岸戦争とそれに続く経済制裁と社会インフラの破壊の影響でイラクの産油量は激減している。イラクが社会インフラを再建して産油量を増やすにはこれから何年もかかる。イラクの膨大な石油資源に垂涎の眼差しを送っている石油会社の経営者たちは、その再建事業に着手することに並々ならぬ熱意を燃やしている。

石油会社とホワイトハウスの関係は今かつてないほど密接になっている。副大統領のディック・チェイニーにとって湾岸戦争以降のイラクとの遭遇はこれで2度目である。チェイニー副大統領はかつて石油関連企業の最大手「ハリバートン社」の最高経営責任者であった.2000年の8月、チェイニー現米副大統領は当時ハリバートンの最高責任者として「私のポリシーはたとえ法律に沿っているとしても、イラクには手をつけないということだった」と語ったが、イギリスのファイナンシャル・タイムズ紙はチェイニーが1998年から1999年にかけて2,380億ドルものイラクとの取引を指揮していたことを報じた。

ブッシュ大統領の石油会社との関係は彼の祖父の代にまで遡る。また、国家安全保障問題担当のコンドリーザ・ライス大統領補佐官の前職は石油メジャー、シェブロン社の取締役であり、シェブロンは彼女の業績を称え1隻のオイルタンカーを「コンドリーザ」と命名した。(詳細 Salon.com

石油業界に詳しいドイツ銀行のアナリスト、J.J.トレイナー氏は、アメリカの石油会社の最大手で現在最大の政治的影響力を持つエクソン・モービル社がイラクの政権交代から利益を得られる最も有利なポジションにいるとみている。(詳細, PDFファイル) エクソン・モービルは石油の需要を堅持するためにアメリカ政府に対して、地球温暖化対策のための京都議定書を破棄するよう圧力をかけるなど労力を費やしてきた。2000年の選挙に際しては$1,375,250もの選挙資金を提供している。これは石油・ガス関連の政治献金としてはエンロンに次ぐ第2位の献金額である。エクソン・モービルの献金総額の89%は共和党の候補者に渡っている。温室効果ガス削減の取り組みを切り崩すことでエクソン・モービルはアメリカの石油への依存を長引かせていると同時に、往々にして政治的に不安定な産油国とのもつれをも長引かせているのである。

しかしながら、フランス、ロシア、中国の石油会社がイラクの石油資源へのアクセスを保持しているなか、エクソン・モービルはここ10年ほどアメリカの政治情勢のためにイラクからは距離を置かざるを得なくなっている。かつてエクソン・モービルはイラクの油田の25%を所有していたが、新たな戦争によってイラクの石油資源が再びエクソン・モービルに開かれることになる。

ブッシュの戦争口実は穴だらけ

ブッシュ政権が石油業界に擦り寄る政権であることは公然の事実であるが、イラクに対して戦争を仕掛けるには口実を作り上げることも必要だった。9・11の後に発動された「対テロ戦争」がその格好の材料を提供した。世界が更なる混乱と破壊の脅威に揺れるなか、ブッシュは主要なスピーチに巧みにイラクを組み込んでいき、素早く世界の注目をオサマ・ビンラディン狩りからサダム・フセインの大量破壊兵器狩りへと切り換えた。

ブッシュは北朝鮮とイラクをともに「悪の国家」と呼ぶが、両国とも核兵器の保有がいまだ確認されていないというのに、北朝鮮に対しては交渉の準備がある姿勢を示し、一方イラクに対しては侵略の準備をすすめている。このダブルスタンダードはいったいどこから来るのだろうか。

アメリカ自身の大量破壊兵器に関する方針に焦点をあててみると、イラク攻撃の理由が大量破壊兵器ではないことが明らかになってくる。

NPT核不拡散条約の締約国としてアメリカは、自らの核兵器の削減、核実験の停止、また国際社会の厳格な管理のもと拘束力のある核軍縮条約を協議する義務を負っている。ところが、現在のアメリカの政権は核兵器生産のための予算を増額し、存在する数々の軍縮関連条約を破棄して核実験を再開している。

ブッシュ政権が最初に実行したことは、旧ソビエト連邦諸国の核兵器および核物質の安全管理と廃棄のための予算を大幅に削ると提案したことだった。議会はこれを大幅すぎる削減だとして否決したが、新たな核兵器製造への投資が増加する一方、現存する核兵器を解体して「安全かつ安心に」管理する資金は不足しているのである。

さらに、国際条約を無視、破棄、あるいは破壊するブッシュ政権の傾向は特に軍備削減に関する協定に顕れている。例えば、

2001年12月、ブッシュ大統領は、それまで交渉が重ねられてきた生物兵器禁止条約を土壇場で骨抜きにし、5年間交渉を続けてきた世界各国を激怒させた。
2000年のNPT核不拡散条約再検討会議でアメリカを含めた締約国は、軍縮に関する最初の具体的な13項目を実施するにあたって核実験全面禁止条約を発効することで核実験の禁止を進めることに合意した。しかしその直後、米上院は条約の承認を否決した。その上昨年アメリカは、追加義務は認めないと表明した。その結果現在、核不拡散条約の将来が危ぶまれている。
ブッシュ政権はまた、独自の「スターウォーズ・ミサイル防衛計画」の推進によって、ABM条約(弾道弾迎撃ミサイル制限条約)が強化されることに背を向けた。このスターウォーズ計画こそが大量破壊兵器廃止のための国際交渉が過去3年間進展していない主因である。またこれは核保有国の核兵器の改良と増強の口実の基盤にもなっている。 ブッシュの大量破壊兵器政策はその総体において専横的、背任的であり一貫性に欠けている。世界が切望していることは国際的で公平な大量破壊兵器破棄の道である。イラクに戦争を仕掛けることは今ある偽善と背任をさらに肥大化させるだけである。
いっしょに行動しましょう!

ブッシュの戦争姿勢が偽善とうさん臭い石油コネクションに根ざしているとあなたも考えるならば、その声を伝えましょう。

国連安保理の各国大使に、国際法を尊重して、イラクに対する攻撃を承認しないよう、要請しましょう。 サイバーアクション

世界最大の石油会社、エクソン・モービル社に対するグリーンピースの抗議行動に参加してください。抗議行動の詳細
★アメリカ合衆国在住の方はそれぞれの市議会へ電話をして、イラク攻撃に反対する決議を通過させるよう要請しましょう。すでに全米20都市はイラク攻撃反対の決議を承認しており、さらなる数の自治体も同じような決議の承認に向かっています。詳細
イラク攻撃反対運動の情報は http://www.worldpeacenow.jp/(日本語) http://www.moveon.org/ (英語)http://www.protest.net/(英語)
グリーンピース・ジャパンの戦争は最大の環境破壊特集ページをご参照ください
お問い合わせ
グリーンピース・ジャパン 広報担当:城川桂子 TEL:03-5338-9800

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