福島第一原発6号機運転再開は安全性を犠牲グリーンピース、佐藤知事の決断を非難
RELEASE ENERGY 2003.07.10

福島第一原発6号機運転再開は安全性を犠牲
グリーンピース、佐藤知事の決断を非難

7月10日、佐藤栄佐久福島県知事は、福島第一原発6号機の運転再開に関し、これを「了とした」と述べた。国際環境保護団体グリーンピース・ジャパンは、これを「安全性を犠牲にした」として、以下の声明を発表し、東京電力と福島県に送付した。グリーンピース・ジャパンの核問題担当の鈴木かずえは「省エネによるピークカットでリスクの回避ができるときに、不必要なリスクを原発立地地域住民のみなさんに強いている」と非難している。

【 声 明 】

東京電力には、原発を再開する前にやるべきことがある

2003年7月10日

グリーンピース・ジャパン
核問題担当 鈴木かずえ
気候変動問題担当 関根彩子

本日7月10日、福島県知事は福島第一原発6号機の運転再開を容認しました。
夏の電力需要の逼迫を回避することはピークカットの徹底で可能であり、グリーンピースは本日の知事の決断について、安全を犠牲にし、不必要なリスクを原発立地地域住民に強いたものと非難せざるを得ません。

東京電力はこれまで、柏崎刈羽原発6号機、7号機の運転を再開させ、すでに柏崎刈羽原発4号機の運転再開容認を新潟県に申し入れ、さらにこの夏の予備電力確保のため、数基を再開させたいとしています。
しかし、東京電力には、危険な原発を再開する前にやるべきことがあります。それら を実行しないまま東京電力が、これ以上、原発の再開を地元に申し入れることは不当 であり容認できません。

東京電力株式会社の不正隠し事件に端を発した原発停止問題は、その根本的な解決を見ないまま、なし崩し的に「電力危機回避」問題へとすりかえられています。
このままでは、安全性が犠牲にされ、原発立地地域の住民は「不安」を抱えながらの生活を強いられることになります。省エネルギーによるピークカットで「リスクの回避」ができるときに、これは許されることではありません。

福島第一原発6号機の詳細な点検をしていない
原子力安全・保安院は、過去5年間の検査で異常なしとされている部位は今回の一斉点検対象から除外しているとしています。また、ヒビ割れの検査範囲も、応力緩和措置を取った部分については除外されています。福島第一原発6号機にも未点検部分がありますが、過去5年間の検査で異常のないことが現在異常のないことの証明にはなりません。未点検部分についても点検すべきです。
原発部品のヒビ割れのメカニズムの解明をしていない
東京電力所有の各原発で、ヒビ割れの起きにくいとされた新しい材質でもヒビ割れが起きており、その原因はいまだ不明です。ヒビ割れがどうして起こるのかのメカニズムの解明をまず行うべきです。
ヒビの深さを調べる「超音波探傷検査」の信頼性が確立していない
女川原発では、超音波探傷検査では1ミリのヒビが、実際の切り出し調査では8.5ミリだったといいます。「超音波探傷検査」が信頼できない現状の是正をまず行うべきです。
ヒビ割れの進行速度予測の信頼性が確立していない
ヒビの深さの進展予測に信頼性はありません。進展予測に当たっての実験データは計算値が合わないことを原子力安全委員会も問題にしているといいます。ヒビの深さの進展予測に関し、信頼性を確立すべきです。
一連の不祥事の原因究明とそのプロセスを公開していない
一連の不祥事の原因は「送電線に電気を送りつづけなければならない」というプレッシャーであったと東電の報告書は結論づけています。しかし、不正を行った社員のうちの何人がこう語ったかなどの数字はいっさい公開されていません。なぜ、隠すのでしょうか。あらためての原因究明とそのプロセスの公開をすべきです。
住民の疑問に答える質疑応答の場を設けていない
東京電力は原発立地に対して、原発一斉点検の結果については一方的な説明に終始しています。立地各市町村で質疑応答の場を設け、住民の疑問に答えるべきです。
需要管理によって需要のピークを下げるための努力を怠っている
東京電力は需給調整契約の制度を用意してはいるものの、グリーンピース・ジャパンが大口の電力利用者に聴き取りを行ったところ、この契約への加入は不十分で需要家の関心度が低いことがわかってきました。また、再三の要請にも関らず、需給調整契約はホームページでの掲載もありません。 危険な原子力発電所を動かさなくても、充分に需要管理ができれば電力需要のピークは乗りきれるにも関らず、東京電力はピークカットに関する努力を怠っているのです。
原発を再開しないと停電するかのような誤解を招く広報をいまだに行っている
東京電力は、原子力発電所の運転再開がなければ供給力が数百万kWの規模で不足する、という誤解を招く広報(*注1)を行い、不当に地元への圧力を高めています。東京電力は、こうした誤解を招く広報でなく、ピークの主要な原因になっている平日午後の業務用需要を減らしやすくするなど、効果的な需要管理のために必要な情報提供をするべきです。
(*注1)
「原子力発電の運転停止にともない、電気の供給力は厳しい状況です。
(略)更に追加的に原子力プラント6~8基程度の運転再開を目指します。」
東京電力ウェブサイト http://www.tepco.co.jp/setsuden/corp-com/saving/01_1-j.htmlより

以上

参考資料
グリーンピース・ジャパンはwebサイトを通して福島県佐藤栄佐久知事にメールを送りませんか、と呼びかけ、7月10日までに130人以上が参加している。:
「これまでによせられたメッセージ」
6月19日付け福島県知事あて書簡 安全性が確保されておらず、電力供給にも必要ないとして原発再開をすべきではないと述べている。
「東京電力の原発停止に対するグリーンピース・ジャパンの2003年夏の提言」ピークカットで需要調整をとしている。
お問い合わせ:
グリーンピース・ジャパン
東京都新宿区西新宿8-13-11NFBビル2F
電話 03-5338-9800 FAX 03-5338-9817
核問題担当 鈴木かずえ
気候変動問題担当 関根彩子
広報担当 城川桂子

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