「遺伝子組み換えでないイネしか生産しません!」 -タイとベトナム(世界最大のコメ輸出国)の生産者が共同表明
RELEASE FOOD 2006.11.28

「遺伝子組み換えでないイネしか生産しません!」
-タイとベトナム(世界最大のコメ輸出国)の生産者が共同表明

【フィリピン、マニラ】タイとベトナムのコメ生産者は、このほど遺伝子組み換えでないコメしか生産しないとの共同声明を発表した。この声明は先週バンコクで発表された覚書のなかで発表されたもの。タイとベトナム両国のコメ輸出量は、現在、世界市場で取り引きされるコメの50%以上を占めており、同声明は他のコメ生産国をも遺伝子組み換えでないコメの生産へ向かわせる圧力となることは必至だ。

「世界最大のコメ輸出国である2カ国が行った今回の共同声明は、アメリカと中国で生産された未認可の違法な遺伝子組み換えコメが市場に流れ、国際的なコメ供給を汚染したことで、遺伝子組み換え産業に対する批判の高まりを受けて行われているものである」と、グリーンピース・インターナショナルの遺伝子組み換えイネ問題担当ジェレミー・テイガーは語る。

同声明が発表された直後の11月28日、グリーンピースは遺伝子組み換えコメの混入がフィリピンのマニラで発見されたことを明らかにした。遺伝子組み換えコメが発見されたのは、フィリピンの輸入業社ピュアシード社が取り扱うアメリカ産の「アンクルサム・テキサス長粒コメ」で、バイエル社の遺伝子組み換えコメLLRICE601が混入していた ( 注1 ) 。この商品は、フィリピンの大手スーパー、ロビンソン、ショップワイズ、SMなどで販売されている。

「市民にただちに警告を出し、注意を呼びかけなければならない。フィリピン政府は、販売されているアメリカ産コメおよびコメ製品をすべて回収すべきだ」と、グリーンピース・東南アジアのダニー・オカンポは語る。さらに「政府はフィリピン国民の主食であるコメを守る義務がある。連続する混入事件からもわかるとおり、遺伝子組み換え作物が誤って環境に放出されたら、消費者にも農家や取扱い業者にも甚大な被害がおよぶことになる」と続けた。

世界の食糧産業は現在、遺伝子組み換え汚染による莫大な代価を支払っている。それは検査の費用、商品の回収、商品ブランドへのダメージ、輸入禁止措置、輸入・契約のキャンセルなど、金額にすると膨大な額にのぼる。アメリカ国内では、遺伝子組み換え汚染から自らの生計を守ろうと必死になったコメ生産者(約300軒)が、バイエル社に対して数百万ドル規模の集団訴訟を少なくとも5件起こしている。さらに、EU市場のコメの30%を扱うコメ加工の世界最大手エブロ・プレヴァ社も、すでにアメリカ産コメの輸入をすべて停止しており、同じくバイエル社に対し法的措置をとるとみられている。

世界市場への遺伝子組み換えコメ混入の原因を作ったのは、アメリカでLLRICE601の野外試験を5年前に終えたバイエル社である。2006年にこの承認されていない違法な遺伝子組み換え品種の混入がわかった国は、今日までで少なくとも24カ国にのぼる。11月16日にアフリカの複数の国で汚染が見つかった ( 注2 ) 。アメリカで行われた小規模な野外試験が引き金となり、コメ供給が世界規模で汚染されている。EU、ロシア、日本をはじめとする多くの国々は輸入制限を行い、これに対応している。このところの輸出量を見ても、アメリカ産長粒米の販売は深刻な落ち込みを示している。それより以前には、EU向けに輸出された中国産コメに、違法な遺伝子組み換えコメBt63(殺虫性)の混入も見つかっている。

グリーンピースは、持続可能性や生物多様性を守る安全な食品をすべての人に提供するという原則にもとづき、遺伝子組み換えでない作物や食品をすすめるキャンペーンに取り組んでいる。遺伝子組み換えは、環境を汚染し、生物多様性を脅かすうえに、とりかえしのつかない健康被害を引き起こしかねない。遺伝子組み換えは無用で望ましくない技術なのである。

注1
バイエル社の除草剤をかけても枯れない遺伝子組み換え品種LLRICE601 が、違法に輸入コメに混入し流通網を汚染していたことが最初に明らかになったのは今年始め。にもかかわらず、アメリカ農務省(USDA)は11月24日(金)、バイエル社にこの遺伝子組み換えコメ販売の許可を与えた。開発元であるバイエルクロップサイエンス社が、現在のアメリカ産コメによる汚染について同社に責任はないと主張したいがために許可を求め、農務省がこれを認めたという、異論の多い決定である。バイエル社は5年前にこの品種を市場に出す計画を取りやめており、現在も販売の意向はない。農務省のこの決定により、これから先、バイエル社の除草剤耐性遺伝子組み換えコメが遺伝子汚染を引き起こしても、同社にはある種の法的保護が与えられることになる。

注2
アメリカの独立研究機関が行った検査の結果、食糧援助品と輸出食品のサンプル9件から、認可されていない違法な遺伝子組み換えコメが検出された。遺伝子組み換えコメが混入していたのは、ガーナおよびシエラレオネへ食糧援助として送られたコメである。このことは、11月24日午前、両国で同時開催された記者会見で、国際環境保護団体FoEアフリカより公表された。 http://www.eraction.org/index.php?option=com_content&task=view&id=27

関連リンク
プレスリリース 「中国産、違法遺伝子組み換えコメ、欧州で見つかる」(2006/9/5)

グリーンピース・ジャパン遺伝子組み換え問題サイト

お問合わせ:
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遺伝子組み換え問題担当 アキコ・フリッド
広報担当     村上京子

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