プルサーマルの見直しと核燃料サイクル政策の転換こそ必要だ
RELEASE ENERGY 2009.05.18

プルサーマルの見直しと核燃料サイクル政策の転換こそ必要だ

プルサーマル燃料が本日、静岡県御前崎港に到着、中部電力浜岡原発へ運ばれた。報道によれば、その後、玄海原発と伊方原発へ回る。輸送燃料集合体の総数は69体、プルトニウム量にしておよそ1.7トン。日仏の住民による反対の声、日本のプルトニウム輸送に関する沿線諸国の強い憂慮を蹴散らすようにして3月6日に始まり、地球の3分の2を航海したのだった。

戦車のように強引に進められた国策
この輸送はまさに「戦車のように」強引に進められた国策の結果である。品質管理データの改ざん、住民投票による拒絶、トラブル隠しなどで地元了解が得られないとみるや、政府はそれまでの立場を翻し、札束(交付金)で頬をひっぱたくように強引に「了解」させたのである。しかし、地元住民は決して合意も了解もしていない。

この輸送は同時に政府の核燃料サイクル政策の破綻の結果でもある。国産の高速増殖炉の開発を目指すという国策は50年も前に作られたが、実用化は逃げ水のように遠のき、いまや40年以上先のこととされている。しかも、現在の技術の延長上には「軽水炉」並みの実用化などあり得ないことは原子力研究開発機構の資料でも明瞭である。六ヶ所再処理工場は国産技術と銘打ったガラス固化処理で技術崩壊を起こし、高速増殖原型炉「もんじゅ」は組織崩壊を起こして頓挫している。にもかかわらず、政策の見直しどころか「国家基幹技術」なる位置づけのもと、いっそう強引に進めようとしている。破綻のつじつまあわせとして政府はプルサーマルを電力各社へ押し付け、同時に住民へ押し付けているのである。

使用済みMOX燃料は長期間にわたって地元に貯蔵されるが、非常に厄介なこの使用済みMOX燃料の扱いが定まらないままにプルサーマルを進めることは、とうてい許されないことである。

プルサーマルのさまざまな危険
プルサーマルは原子炉の安全余裕を減らすことで事故の危険が増す。とりわけ耐震安全性が尚も行なわれている活断層の過小評価や機器の「実力」評価に疑問が強く残る現状ではいっそう危険である。プルサーマルはコスト高だ。高いコストを消費者には転嫁しないと電力各社は説明するが、むしろ、経営環境の厳しさを考えれば電力各社こそサイクル政策の転換を求めるべきである。

さらに、プルサーマルは電力の自由化の進展や再生可能性エネルギーのいっそうの進展を阻害する要因となることは必至である。また、フランスの事例を考えれば、プルサーマルの進展は余剰プルトニウムを減らすのはおろか、むしろいっそうのプルトニウム余剰をもたらすことになるだろう。世界の核拡散状況への懸念がいっそう大きくなる中で、日本が大規模なプルトニウム利用政策を展開していくことは、この状況をますます助長させる結果にもなりかねない。

プルサーマル燃料輸送は今後20回程度に及ぶと考えられるが、輸送の危険は払拭されていない。輸送容器は800℃に30分の耐火試験、水深200mに1時間の耐圧試験に合格してはいるが、大規模な火災が起きた場合や輸送容器が沈没した場合などの対策は不十分といわざるを得ない。 進められるべきことは、プルサーマルの実施ではなく、プルサーマルの見直しであり、核燃料サイクル政策の転換である。地元住民をはじめ多くの住民がこれに気づいている。私たちは政策転換を求める声をいっそう強くあげていきたい。

2009年5月18日
原子力資料情報室
(伴 英幸:http://cnic.jp/)
グリーン・アクション
(アイリーン・美緒子・スミス:http://www.greenaction-japan.org/)
グリーンピース・ジャパン
(星川 淳:http://www.greenpeace.or.jp/)

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