無用の調査捕鯨、南極海へ最後の船出となるか--国内12団体が中止を求めて声明発表
RELEASE 2009.11.19

無用の調査捕鯨、南極海へ最後の船出となるか--国内12団体が中止を求めて声明発表

国際環境NGOグリーンピースは本日午前10時すぎ、南極海へ向かう調査捕鯨母船の日新丸が母港の因島を出港したのを確認した。昨年5月、グリーンピース職員が告発し未解明となっている調査捕鯨船乗組員による組織的なクジラ肉横領疑惑や、調査捕鯨の既得権益を形成する天下り公益法人と補助金の問題など、官僚主導の不透明な政治と税金のムダづかいをなくすと公約した新政府の下で調査捕鯨の見直しは必須であり、南極海へ向けた調査捕鯨船団の出港はこれが最後となる可能性がある。

調査捕鯨船団出航の際には例年、捕鯨関係者を招いて下関港で盛大な出港式が行われていたが、2008年には出港式は中止され、因島の埠頭での式典にとどまった。しかし今年は出港式も式典なく、20人ほどの関係者が見送るなか、ひっそりと出港した模様。

出港に合わせて国内の13団体が共同声明を発表し、鳩山新政権に南極海での調査捕鯨の中止を訴えている(注1)。またこの間、船舶の航行や事故による海洋汚染を防ぐのが目的のマルポール条約により、南極海域での重油の運搬や使用が禁止されることとなった(注2)。調査捕鯨母船の日新丸は高価な燃料への切り替えのため費用がかさみ、もともとクジラ肉消費の低迷などで採算の取れていないこの国策事業の資金繰りを圧迫するだろう。

昨年5月、グリーンピース職員の佐藤潤一と鈴木徹は、捕鯨母船日新丸の乗組員によるクジラ肉の横領を調査し、大規模な不正を明らかにした。それに対し、水産庁と関連機関は組織ぐるみで横領クジラ肉を「土産」と称して隠ぺいを画策。乗組員の横領疑惑は十分な調査もされずに不起訴となり、同日(2008年6月20日)佐藤と鈴木は逮捕されて、27日間の拘留の後、起訴された。この裁判(クジラ肉裁判)の公判前整理手続きの中で、弁護団は公平な裁判のために調査捕鯨関係者によるクジラ肉横領の有無も含めた審理を求めている。

グリーンピース・ジャパン事務局長の星川淳は、「国内のクジラ肉需要は減少の一途をたどり、また元捕鯨企業も商業捕鯨の再参入は考えていない。国内に市場も産業もない調査捕鯨はまさに税金のムダづかいで、対外的にも無用な摩擦を起こして国益を損なう国策事業だ」と指摘し、「その見直しは国内的にも、また調査捕鯨を問題視する諸外国にとっても有益なWin-Win(相互利益)事案であり、これが南極海への最後の出港となることを望む」と強調した。グリーンピースは調査捕鯨の見直しを訴える一方、南極海の環境と生態系保護のために鯨類の科学調査として国際的に計画されている非致死的調査に日本政府も積極的に参加することを求めていく。

過去23年間、南極海で9000頭以上ものミンククジラが“科学調査”の名目で殺されており、調査捕鯨の非科学性と致死的調査方法に対しては、毎年のように国際捕鯨委員会から中止勧告を受けている(注3)。

注1: 共同声明 (PDFファイル)

注2: 共同通信2009年8月29日 「南極海での重油使用を禁止 日本の調査捕鯨に影響大」

注3: IWCの致死的調査中止の勧告
“RECALLING that the Commission has repeatedly requested Contracting Parties to refrain from issuing special permits for research involving the killing of whales within the Southern Ocean Sanctuary,”
(日本語訳)「委員会は締約国に対し、南極海クジラ保護区内における鯨類捕殺をともなう調査に特別許可を発行することをやめるよう要求する」

お問い合わせ: グリーンピース・ジャパン
広報 村上

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