グリーンピースの船、台湾で違法操業疑惑のマグロ運搬船を発見
RELEASE OCEAN 2011.01.24

グリーンピースの船、台湾で違法操業疑惑のマグロ運搬船を発見

グリーンピースの船、虹の戦士号は23日、違法操業の疑いが極めて高いマグロ冷凍運搬船LUNG YUIN号(隆運號)を台湾の高雄港で発見しました。
グリーンピース【1月24日・台湾・高雄港】グリーンピースの船、虹の戦士号は23日、違法操業の疑いが極めて高いマグロ冷凍運搬船LUNG YUIN号(隆運號)を台湾の高雄港で発見し、その船体に「盗まれたマグロ!」「今すぐ実態調査を!」などと書かれたメッセージを投影しました。また、現在、台湾政府に対して、LUNG YUIN号の立ち入り調査と、中西部太平洋におけるまぐろ漁業の保護管理の徹底を求め、同船の出港を阻止しました。

中西部太平洋でマグロを積み込み日本などの消費国に運ぶこの冷凍運搬船LUNG YUIN号は、外国船籍を所有する台湾企業に対して台湾政府が義務付ける登録をしておらず、違法操業の疑いが極めて高い状態です(注3)。2004年には、日本でも清水港で冷凍マグロを荷下ろす際に海上保安庁の立ち入り調査を受け、違法漁業が発覚した経緯があるだけではなく(注1)、国際運輸労働者連合(ITF)により乗組員の酷使等も報告されました(注2)。

台湾の企業が所有する漁船は、中西部太平洋で操業するものだけで約1940隻にもなり世界最多です(注4)。また、台湾の漁業は政府による把握や管理が行き届いておらず、便宜置籍漁船(FOC・注5)も多く存在します。さらに、LUNG YUIN号のような運搬船は、違法漁船が漁獲したマグロを消費国に運搬する役割を担うマグロロンダリングの原因にもなり、輸入するマグロの約25%(日本総供給量の約13%・約5.1万トン・注7)を台湾に依存する日本にも、このような違法操業によって捕獲されたマグロが供給されています。

中西部太平洋は危急種メバチマグロやキハダマグロなどの資源状態の悪化が深刻で、一刻も早い漁業管理の徹底と漁獲努力の縮小が不可欠な海域ですが、今でも大規模な乱獲や違法漁業が続けられています(注6)。台湾に活動拠点を置くグリーンピースの海洋生態系問題担当の高于_(Kao Yu Fen)は、「自国での登録すら済ませていない船が、国際漁業管理機関の保護管理に関する取り決めに則って操業されているとはとても思えない」とし、「台湾政府は中西部太平洋マグロ類委員会(WCPFC)加盟政府として、LUNG YUIN号の調査と所有会社への適正な措置を急ぎ、国際的な保護管理に関する取り決めの強化に貢献する必要がある」と訴えました。

日本のスーパーなどに働きかけシーフードの調達ポリシー導入を求めているグリーンピースの海洋生態系問題担当の花岡和佳男は、「国際協力による保護管理の精神を踏みにじる漁業によって乱獲されたマグロが、日本の食卓にまぎれて出回っている。漁業、魚食、そして生物多様性の持続可能性を脅かす大規模な過剰漁業や違法漁業を、消費者が知らぬ間に手助けしているようなことはあってはならない」とし、日本で魚介類を取り扱う小売業者に対して「乱獲された魚介類の取り扱いをやめ、商品の資源状態や環境負荷に関する情報を消費者にきちんと提供することが、魚食や水産業を守るためにも欠かせない」と語りました。

グリーンピースは生物多様性と漁業を守るため、世界の海の40%を海洋保護区とし、60%で持続可能な漁業管理を行うことを解決策として活動しています。中西部太平洋においては、公海ポケットを海洋保護区に指定することと、海域内の漁獲努力の半減を求めています。

注1) 公文書を偽造し違法にマグロを輸入したとして、2004年6月6日に清水港にて日本の海上保安庁に逮捕された。二重帳簿など押収された証拠により、この冷凍運搬船にマグロを載せた大型マグロ漁船28隻の違法漁業が明らかになった。
http://www.iattc.org/pdffiles2/jwg-4-minutes-jun-05.pdf
注2) International Transport Workers’ Federation, ‘ITF Seafarers’ Bulletin’, no. 19, 2005
注3) 台湾では、外国籍の漁業従事船の所有者は条例により、その船舶の運営を登録しなくてはならない。グリーンピースは2010年9月に台湾の水産庁に対し、この船と所有会社が必要な登録を行っていない276隻の船のひとつであることを報告した。
http://www.greenpeace.org/international/en/publications/reports/Taiwan-FOC-report/
注4) WCPFCの船舶登録http://intra.wcpfc.int/Lists/Vessels/Stats.aspx
注5) Flag of Convenience。本来、漁船操業はその漁船の船籍のある国の法律の下で、許可や承認により、或いは自由に操業しているが、国際規制に基づく国内法での規制を逃れる目的で、漁船の船籍を漁業管理能力のない第三国に移し、漁業に関する国際規制の枠外で無秩序な操業を行っている漁船のこと。
注6) http://www.greenpeace.org/australia/issues/overfishing/solutions/marinereserves
注7) かつお・まぐろ類に関する国際情勢について わが国の主要なマグロ類供給量
http://www.jfa.maff.go.jp/j/tuna/pdf/kmnov_all.pdf

お問い合わせ:国際環境NGOグリーンピース・ジャパン

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