グリーンピース、新報告書発表『ポスト原子力の3大課題―国際事例から考える電力会社再生8戦略』~来るべき「電力市場の自由化」と「自然エネルギー時代」への提案~
RELEASE ENERGY 2013.02.06

グリーンピース、新報告書発表『ポスト原子力の3大課題―国際事例から考える電力会社再生8戦略』~来るべき「電力市場の自由化」と「自然エネルギー時代」への提案~

国際環境NGOグリーンピースは、本日2月6日、グリーンピースが作成・発行した報告書『ポスト原子力の3大課題――国際事例から考える電力会社再生8戦略』(原題: Beyond Nuclear: The triple challenge facing Japanese utilities)を発表しました(注1)。本報告書は、東京電力福島第一原発事故を経験した日本の電力会社が直面する重要課題を分析し、欧州や米国といった国際的事例から再生のための戦略的な取り組みを提案しています。提案では、自然エネルギーという変化に対する電力会社の意識を「消極性と抵抗」から「積極性と適応」へと切り替えることが鍵を握るとしています。
本報告書ではまず、日本の電力会社が直面する重要課題を下記3点としています―― 1) 規制緩和(発送電分離をはじめとする電力システム改革による大きな経営環境の変化)、2) 原発資産の評価減(福島第一原発事故を受けての原発の資産としての評価の低下)、3) 自然エネルギー革命(グローバルな潮流となっている自然エネルギーの台頭)。

次に、この課題を克服したケースとして欧州や米国の事例を分析し、日本の電力会社が取るべき道筋を考察します。例えば、2000年頃のドイツは、規制緩和、自然エネルギーの開発、原子力の市場シェアにおいて現在の日本と状況が似ていましたが、自然エネルギーに対して「消極性と抵抗」で対応したために自然エネルギー分野での急速な統合についていけず、現在の自然エネルギー市場でのシェアは数パーセントにとどまっています。一方スペインの電力会社は、早い段階で市場の主導権を握る必要性を理解していたため、現在は自然エネルギー市場で優位な立場を築いています。

最後に、日本の電力会社が取るべき戦略として、ベースロード用電源としての石炭火力および原子力発電への投資削減、火力発電の熱効率改善、石炭/石油の価格変動の影響を受けにくくする、自然エネルギー市場で主導権を握る、電力会社も参入できる固定価格買取制度の導入、など8つを提案します。

本報告書の著者で、グリーンピース・インターナショナル エネルギー投資シニアアドバイザーのギョルギー・ダロスは、「『独占市場』という高い利益性を享受していた日本の原子力事業の“良き時代”は終焉を迎えました。日本が前へ進むたったひとつの道は、自然エネルギーの発電能力を拡大することで市場の不安定さを回避し、福島第一原発事故によって東京電力が崩壊した危険性から教訓を学ぶことです」と述べました。ダロスは既に昨年6月にも報告書「原発――21世紀の不良資産」および「日本生命と原子力産業」(注2)を発表し、原子力発電のもつ巨大な経済リスクを指摘し、自然エネルギーを積極的にビジネスチャンスとすることが、電力会社のみならず投資家にとって最も着実で好ましい結果につながることを提言しています。

グリーンピース・ジャパン エネルギー担当の関根彩子は「今国会には、電気事業法の改正案が提出され、発送電分離や家庭向け電力の自由化などの計画も議論されるとみられています。また、原発事故をうけて1月末に原子力規制委員会が提示した原子力発電所の新しい安全基準を満たすには1兆円もの投資を要すると試算されています。本報告書が指摘する3大課題に適切な戦略をもって先手を打てるかどうかが電力会社の今後の姿を左右します」と指摘しました。

福島原発事故を経験した日本の電力会社には、今こそ環境と社会の持続可能性と、経営の合理性を併せ持つ「統合的視点」が求められています。

注1) グリーンピース、『ポスト原子力の3大課題――国際事例から考える電力会社再生8戦略』
英語版へのリンク
注2) 過去に発行した報告書はこちらから

国際環境NGO グリーンピース・ジャパン

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