原子炉メーカー、1960年前後に原賠法から過失責任の除外を政府に求めていたことが判明
RELEASE ENERGY 2013.09.10

原子炉メーカー、1960年前後に原賠法から過失責任の除外を政府に求めていたことが判明

国際環境NGOグリーンピースは、1961年に成立した原子力損害賠償法(原賠法)の成立過程を調査し、法案の検討段階でメーカーが自身の過失責任を問わないよう政府に求めていたことを明らかにしました。グリーンピースは、本年2月から原子炉メーカーの責任を問うキャンペーンを実施し、原賠法の改正を求めています。

グリーンピースは、内閣府に情報公開請求し1960年初頭に開催された原子力委員会の議事録を入手、本日公開しました(注1)。議事録からは、「供給者の求償は故意または重過失になっているが、重過失は供給者の不安を除くため削除することとした」、「Makerの立場からは故意以外のものは全て免責してもらいたいという意見をもっており、設置者、保険者、国の三者間で問題を解決していきたい」といった発言があったことが明らかになりました。法案の検討当初、「故意または重大な過失によって原子力事故が生じたとき」電力会社がメーカーに対して賠償を求める権利(求償権)があると議論されていました(注2)。しかし、メーカーの意向を受け、現行の原賠法では「損害が第三者の故意により生じたものであるとき」電力会社に求償権があるとされ、メーカーの「過失」は問われなくなっています。(下線は、グリーンピースによる)

巨大なリスクを伴う原子炉には、設計、製造、設置からメンテナンスまで切れ目なく責任が伴って然るべきです。しかし原子炉は原賠法により、例外的に製造物責任法(PL法)の対象外とされています。現在、東京電力福島第一原発事故の賠償責任は東京電力に集中しており、つくった原子炉が大事故を起こしたにも関わらず、メーカーは賠償責任を問われていません。また、メーカーは、これからも原発ビジネスを拡大するとしています。原賠法の目的は「被害者の保護」と「原子力事業の健全な発展に資する」ことに置かれていますが、これでは後者に力点が置かれていると言わざるをえません。

グリーンピース・ジャパン エネルギー担当の関根彩子は、「メーカー自身が原発のリスクの大きさを自覚し、賠償を不安に思っていることが明らかとなりました。メーカーに重い責任を課すことはそれだけ製品の安全性強化につながりますが、原子炉にはその仕組がありません。現在、東電福島第一原発事故の賠償には多額の税金が投入されています。本来、メーカーが負うべきリスクが、納税者に転嫁されているのが現状です。原賠法は、メーカーが事故のリスクを逃れるための制度であってはなりません。福島原発事故を教訓として、メーカーを始めとする企業の責任を明確にし、被害者保護の制度を作り直していく必要があります」と訴えました。

グリーンピースは、本年2月から原子炉メーカーの責任を求めるオンライン署名や、メーカーの株主総会における抗議活動などのキャンペーンを実施し、原賠法の改正を求めています。市民に呼びかけているオンライン署名では全世界から10万筆を超えるオンライン署名が集まっています。

参考資料 「原発メーカーはやっぱり事故が『不安』!?」(グリーンピース・ジャパン ブログ)

注1) 1960年 第六回原子力委員会議事録 (PDF)
注2) 原賠法のあり方を検討する専門家会合の原子力災害補償専門部会議事録より(1959年12月)


国際環境NGO グリーンピース・ジャパン

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