新IPCC報告書、気候変動の脅威への備えが不十分と指摘 ――グリーンピース、安全な世界のために自然エネルギーへの迅速な転換を訴え
RELEASE ENERGY 2014.03.31

新IPCC報告書、気候変動の脅威への備えが不十分と指摘 ――グリーンピース、安全な世界のために自然エネルギーへの迅速な転換を訴え

国際環境NGOグリーンピース(東京・新宿、本部:オランダ)は本日3月31日、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」総会が横浜市で閉幕し、第5次評価報告書のうちの第2作業部会報告書が公表されたことを受けて、新IPCC報告書は迫り来る気候変動の脅威に新たな警告を発表したとして、世界の政治指導者に持続可能で安全な自然エネルギーへの移行を加速することを要請しました。グリーンピースは、国連が定める公式な「オブザーバー」の資格でIPCC総会及び第2作業部会に出席しました。
今回公表された第2作業部会報告書は、気候変動の「影響・適応・脆弱性」に関して科学的知見をまとめたものです。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、気候変動の影響はすでに陸域と海洋全体に広がり、急速に悪化していると報告しました。将来の悪化の度合いは、近い未来の選択にかかっています。

グリーンピース・インターナショナル(本部) 政策・ビジネスユニット 上級政策アドバイザー カイザ・コソネンは、「私たちは気候変動の脅威に対して綱渡りをしています。ただ、気候変動の要因となる温室効果ガス排出を削減するためにより早く、そして大胆に取り組めば、人間の安全保障への脅威を依然として回避でき、生命維持に重要な海洋生態系、森林、生物種も保護されます。現世代の選択を歴史がどのように裁くかは、私たちの取り組みにかかっています。『私たちとともに立ちあがりますか?』と、世界の政治指導者に問いかけます」と述べました。

写真:3月30日IPCC閉幕の前日、会場となっている横浜にて国内外の市民団体(FoE、GCCA、グリーンピース、Oxfam、WWF、気候ネットワーク、CASA)は、共同でアクションを実施しました。

IPCCの報告書は、気候変動によって食糧や水の脆弱性が悪化し、移住や武力衝突のリスクが間接的に増加するにつれて、人間の安全保障への脅威を高めると報告しました。

グリーンピース・インターナショナルの平和アドバイザー ジェン・ママンは「石油採掘基地と火力発電所は、大量破壊兵器のようなもので、壊滅的な影響をもたらす二酸化炭素を国境に関係なく大気中に大量放出しています。平和と安全を守るためには二酸化炭素を削減して安全を確保し、すでに兆しのある持続可能で安全な自然エネルギーへの転換を加速する必要があります」と述べました。

推定値が大幅に異なる気候変動の経済的影響は注目を集めていますが、気候変動の影響を被りやすい地域における損失は、国内総生産(GDP)で価値を換算することはできません。

フィリピン出身でグリーンピース・東南アジアの気候変動・エネルギー問題担当のアマリ・オブセンは「限定的な経済モデルや世界のGDP値に惑わされ、大事なことを見失わないでください。昨年フィリピンを襲った巨大台風ハイヤンで死亡または行方不明となった8千人の命に金額をつけられるでしょうか? 台風の暴風雨のなか、母親から引き離された子供の心の傷はお金に換算できるでしょうか? それこそが気候変動による実際の損失であり、私たちが取るべき対策の緊急性を定義するものです」と語りました。

またオブセンは、「今日、気候変動の原因を生み出す汚染者は罪に問われず、その代償を払っているのは被害者です。石油、石炭、ガスなどの化石燃料ビジネスの企業は巨額の利益を得ていますが、化石燃料がもたらす被害の損害賠償を負っていません。この現状は変える必要があり、グリーンピースは変える決意があります」と続けました。

グリーンピース・ジャパンの気候変動・エネルギー問題担当 高田久代は「汚染者が責任を負わず、被害者と市民が代償を払わされるという構図は、私たちが東電福島第一原発事故でまさに経験しているものです。
同じ悲劇が気候変動による被害という形で繰り返されてはなりません。原発事故も気候変動も、私たちのエネルギー源選択の問題です。IPCC報告書の日本での公表をきっかけに、原子力にも化石燃料にも依存せず、省エネと安全で持続可能な自然エネルギー利用への転換を加速する政策が日本政府に問われています」と述べました。

グリーンピースは、国連の潘基文事務総長が9月に開催する気候変動サミットに向けて、自然エネルギー100%によるエネルギーシステムを構築できるよう真剣に取り組むことを各国政府に強く要請します。太陽光、風力などの自然エネルギーは、すでに化石燃料や原発など従来のエネルギーシステムに対抗できるようになりつつあります。各国政府は、自然エネルギーへの転換をさらに加速する必要があります。

注)IPCC報告書、気候変動の「影響・適応・脆弱性」に関するグリーンピースの所見(英語)


国際環境NGO グリーンピース・ジャパン

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