グリーンピース、川内原発の避難計画に関する実地調査を独自に実施 ―原発避難計画は津波ハザードマップと整合性なし、複合災害考慮せず
RELEASE ENERGY 2014.06.10

グリーンピース、川内原発の避難計画に関する実地調査を独自に実施 ―原発避難計画は津波ハザードマップと整合性なし、複合災害考慮せず

国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは、6月10日、再稼働審査が優先的に進められる九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の避難計画の実地調査の結果を発表し、現在の原発避難計画では津波や洪水などの複合災害が想定されていないばかりか、同じ薩摩川内市作成の津波ハザードマップと整合性が取れていないことを明らかにしました。
鹿児島県議会の開会を前にした6月7日から9日、グリーンピースは原発事故時の薩摩川内市の避難計画について、地元住民と共に、独自に実地調査を行いました。その結果、同市の避難計画では、自家用車で避難できない住民は徒歩で一時集合場所に集まり、バスに分乗して避難することになっていますが、同じ薩摩川内市作成のハザードマップでは、その周辺や集合場所が津波や洪水時に浸水する危険区域と示されていることが分かりました(資料1:実地調査の結果概要)。

アドバイザーとして今回の実地調査に同行した原子力災害市民研究会の末田一秀氏は、「津波や洪水と原発事故が併発することは十分考えられます。津波の危険性がある際に、放射能を避けるため住民が川沿いの集合場所に向かうことになれば、大きな混乱が生じます。被ばくを最小限に抑えて安全に住民を避難させるには、複合的な防災計画が欠かせません」と述べました。また、今回の実地調査に参加した薩摩川内市民の森永明子さんは、「原発に何かあれば避難しなければならず、二度と戻れないかもしれない。福島原発事故でそれを学んだのだから、自ずと選択肢は決まるはず。再稼働はしないでほしい」と訴えました。

実地調査に先立って、グリーンピースが第三者機関に委託して実施した、川内原発30キロ圏および鹿児島市の住民あわせて500人を対象に実施したインターネットによる意識調査(注1)では、「川内原発で深刻な事故が起きたとき、被ばくすることなく避難できると思うか」という質問に対し「そう思う」と答えた住民は10%以下に留まりました。また、現在審査対象となっていない避難計画自体の有効性(注2)について、国による審査を望む人は7割にのぼりました。(資料2:意識調査結果の概要

現地で調査に参加したグリーンピース・ジャパン気候変動/エネルギー担当の高田久代は、「原発事故は、原子炉の稼動状況に関わらず発生する可能性がありますが、稼動中は更に事故のリスクが高まります。川内原発に関する現在の避難計画は、現実に即した実効性あるものとは程遠く、住民参加のもと大幅に改善する必要があります。住民を守れる避難計画なき再稼働は非論理的であり、非倫理的です。伊藤知事は再稼働を認めるべきではありません」と強く求めました。

グリーンピースは、昨年11月にも川内原発の再稼働に対する意識調査を実施しました。6月10日、2回目となる今回の意識調査の結果と、避難計画の実地調査の結果について、鹿児島県危機管理局原子力安全対策課に説明するとともに、伊藤祐一郎知事宛ての「住民を守れる避難計画なしで川内原発の再稼働を許可しないことを求める要請書」(資料3)、およびグリーンピースが全国から集めた「とめよう再稼働」オンライン署名14,360筆(注3)を提出しました。

注1) 6月4日から5日、グリーンピースが楽天リサーチ株式会社に委託し、川内原発の30キロ圏内の住民と鹿児島市に住む20代から60代の住民あわせて500人を対象に実施したもの。
注2) 米国では原子力規制委員会が原子力緊急時の計画にも責任を持ち、十分な計画でない場合、原子炉を停止させる権限がありますが、日本では、地方自治体が作成した原子力防災計画の有効性を審査する国の機関はありません。グリーンピースは、日本の原子力規制委員会に対し、原子力防災計画の有効性を審査するよう要請しています。
注3) グリーンピース・ジャパンのウェブサイトにて実施した署名で、2013年11月25日から2014年5月31日までに寄せられた一時集約分。


国際環境NGOグリーンピース

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