G7伊勢志摩サミット閉幕:気候変動・エネルギーに関するNGO共同声明
RELEASE ENERGY 2016.05.27

G7伊勢志摩サミット閉幕:気候変動・エネルギーに関するNGO共同声明

G7、人類の生存を脅かす気候変動に対処するリーダーシップを発揮できず

環境・持続社会」研究センター(JACSES)
気候ネットワーク
グリーンピース・ジャパン
国際環境NGO FoE Japan

気候変動・エネルギーの分野は、G7伊勢志摩サミットの議題の一つに取り上げられていたが、会議全体の中での気候変動問題の位置づけは極めて低いものであった。人類にとって甚大な脅威であるこの問題に対するG7の対応として全く不十分なものである。とりわけ昨年のエルマウサミットでの本課題に対する政治的なモメンタムを引き継ぐとともに、歴史的な合意であるパリ協定の採択後のサミットとして、政治的なリーダーシップを発揮する重大な機会を逸することになってしまった。日本は、G7の中で唯一石炭火力を推進する国であり、気候変動問題及び持続可能なエネルギーへの転換に消極的な姿勢が、今回の気候変動・エネルギーの扱いを小さなものに留めてしまう結果になった。

しかし、宣言にはいくつかの前向きな内容も含まれた。以下、評価できる点・課題とされる点を指摘する。

(1) 2016年のパリ協定発効を目標に明示したこと:パリ協定について、可能な限り早期の締結のための措置をとることを約束し、そして、全ての国に2016年に発効するという目標に取り組むことを呼びかけた。このことは、G7諸国は、2016年の発効に間に合うよう、年内の締結を進めることでリードすることを含意する。日本にとってはとりわけ締結のプロセスの加速が要請される。

(2) 2020年より十分先立って長期戦略を策定すること:パリ協定に基づき求められている温室効果ガス低排出発展長期戦略の策定について、G7諸国が先立って策定・通報することを約束した。このことは、G7諸国が、速やかに長期戦略を策定することを約束させるものであり、日本も速やかに準備を始めなければならない。

(3) 脱石炭の方針がないこと:パリ協定で約束した1.5-2℃の目標を達成するためには、特にCO2排出量の最も多い石炭火力発電の新設をやめることが必要だが、石炭火力発電に関する言及が一切なされていないことは大変残念である。

(4) エネルギーの上流開発:パリ協定の目標達成には世界中で埋蔵が確認されている化石燃料資源の約4分3を燃やすことができないことが明らかとなっているにもかかわらず、エネルギーの上流開発への投資の持続を奨励していることは問題である。

(5)非効率な化石燃料補助金の撤廃:非効率な化石燃料補助金の撤廃については、今回、新たに2025年というタイムラインが入ったことは評価できるが、「非効率」の定義の明確化及びより早期の撤廃が必要である。

(6) 質の高いインフラ投資:質の高いインフラ投資の推進の目的のひとつとして、パリ協定等に対処することが掲げられたことは評価できるが、コミュニケと共に合意された「質の高いインフラ投資の推進のためのG7伊勢志摩原則」では、気候変動の目標や緩和計画との整合性は含まれておらず、同原則は極めて不十分なものとなっている。

(7) 原子力発電と温暖化対策:G7各国首脳が、原子力発電が温室効果ガスの削減に大きく貢献すると提案したことは残念である。原発は気候変動の危機を救う答えにはならない。この提案は、日本政府と他の原発推進国が自国の思惑のために含めたものだと考えられる。しかし、原発は二度と日本のエネルギーミックスの主要部分を占めることはない。安倍首相は自身の短絡的な公約実現のために、気候変動の危機を口実に利用し、時代遅れで危険な技術を推し進めようとしている。

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