グリーンピース調査、夏野菜の苗4製品から非表示の農薬見つかる ずさんなルールで広がる農薬使用、政府は生態系農業への転換を
RELEASE FOOD 2016.06.20

グリーンピース調査、夏野菜の苗4製品から非表示の農薬見つかる ずさんなルールで広がる農薬使用、政府は生態系農業への転換を

国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは本日、農薬使用の実態を調べるため、国内の種苗販売店で購入した夏野菜の苗9製品(トマト苗3点、ナス苗3点、ピーマン苗1点、キュウリ苗2点)の分析を2016年5月23日から6月6日にかけて行い、全9製品中5製品からネオニコチノイド系農薬が検出されたことを発表しました(注1)。うち4製品では非表示の農薬が見つかり、いずれも接ぎ木苗から検出されました。サンプルは2015年5月19日から21日にかけ、JA東京むさし(本社 東京都)、株式会社コメリ(本社 新潟県)、スーパービバホーム(本社 埼玉県)の首都圏店舗で購入、農薬の分析は株式会社食環境衛生研究所(群馬県)に委託し、茎、葉、花部分の農薬分析を行いました。

接ぎ木苗には、穂木(接ぎ木の上の部分)に使われた農薬は種子処理使用も含め表示義務がありますが、台木にはありません。検出された非表示の農薬は、穂木、台木どちらかで使われていた可能性がありますが、いずれの場合でもずさんな表示ルールにより、苗購入時に消費者は使用されている農薬について正しく知る手段を奪われています。減農薬・特別栽培の農薬使用回数も実態を反映していない恐れがあります。ネオニコチノイド系農薬は浸透性農薬であるため、植物の茎や葉、花にも農薬が残留しやすく、ミツバチなどの花粉媒介者への影響が指摘されています。調査の結果、現状の表示ルールでは、消費者がネオニコチノイド系農薬使用製品を避けることができない実態が明らかになりました。

グリーンピース・ジャパン食と農業担当 関根彩子は、「農林水産省と農薬メーカーは、農薬の『適正な使用』を前提に、登録・使用・残留基準を決めています。しかし、現状の管理方法では農薬使用の実態を把握しきれていないことが明らかで、『適正な使用』には限界があります。ずさんなルールのもとでの農薬の過剰使用や環境汚染、健康影響の問題を根本から解決するためには、政府はネオニコチノイド系農薬など残留性の高い浸透性農薬を規制し、生態系農業へのシフトを急ぐべきです」と述べました。

摂南大学 宮田秀明名誉教授は、「従来使用されてきた有機塩素系農薬や有機リン系農薬などでは根から茎に移行することはないが、これらの農薬に比べて水溶性の高く、オクタノール/水分配係数が100以下と低いネオニコチノイド系農薬などの浸透性農薬は、根から植物体内を容易に移行・浸透し、蓄積する。そのため、従来の農薬とは異なる取り扱い必要で、接ぎ木苗についての法整備や表示などを検討することが急務である。」と指摘します。

グリーンピースは、国内スーパーマーケット6社と生協における農薬使用把握の実態や、有機農産物の販売状況を調査した「Goオーガニックランキング」を2016年5月に発表しました。安全で生態系をまもる農産物を望む消費者とともに、小売業に有機農産物の調達・販売方針の強化を求める「Goオーガニック」署名を展開しています(注3)。

グリーンピース・ジャパン 苗の分析結果表

サンプル入手期間:2015年5月19日~5月21日
分析期間:2016年5月23日~6月6日
分析対象:ポット入り苗はすべて、土から上の部分のみ(茎、葉、花)分析
分析項目:一般に残留検出が多いとされる農薬260種(GC/MS法、注4)+ネオニコチノイド系農薬とフィプロニルを合わせた浸透性農薬9種類(LC/MS/MS法)
分析機関:株式会社食環境衛生研究所(群馬県)

★ネオニコチノイド系農薬

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