“リサイクル”という神話
PLASTIC 2018.10.31

“リサイクル”という神話

きれいに洗って、キャップを外して、ラベルも取って…。

ゴミの分別やリサイクルは私たちの日常です。

なかなかめんどくさいものですが、自分の家や街をきれいに保ちたいし、出てしまったゴミには責任を持ちたい、という思いでみんな頑張っているはずです。

でも、ちょっと立ち止まって考えてみましょう。

私たちが頑張って分別したゴミは、そのあとどうなっているんでしょうか?

今日は、これまで私たちが信じてきた”リサイクル”の真実に、勇気を出して直面してみましょう。

まやかしの”リサイクル”

プラスチック循環利用協会によれば、日本で回収されたプラスチックの80%が”リサイクル”されている、とあります。 

実は、この数字には、トリックがあります。

“リサイクル”に含まれる回収プラスチックの有効利用のうちの多くは、”サーマルリサイクル”、”ケミカルリサイクル”などとして、熱を発電などに利用したり、固形・液状燃料などに姿を変えられてから熱利用されたりしています。

簡単にいえば、燃やされています。循環していないので、リサイクルではないのです。

ちなみに、”サーマルリサイクル”という言葉は和製英語で、海外ではEnergy Recovery(熱の再利用)と言わなければ伝わりません。

循環というイメージを抱かせる”リサイクル”と呼ぶのは、誤解を招く言葉です。

227億本のペットボトルはどこへ?

“リサイクル”という神話

東京都三鷹市のゴミ処理施設 2018年 (C)Greenpeace

次に目を向けたいのが、ペットボトルです。

ペットボトルの回収率は、使い捨てプラスチックの中でも88.9%と高く 、ものからものへ生まれ変わるリサイクル(マテリアルリサイクル)の代表例とされています。

が…

現実には、回収されたペットボトルの半分以上は、これまで海外、主に中国に輸出されてきました

“リサイクル”を目的としたごみの輸出入では、ごみが本当にリサイクルされているのか、どのようにリサイクルされているのか、廃棄されているのか、自然環境に流れ出しているのか、把握することは困難です。

ちなみに、いくら回収率が高いとはいえ、回収されない残り10%のペットボトルは、燃やされるか、自然環境に流れ出しているということになります。国内で1年に消費される227億本のペットボトルの10%(23億本のペットボトル!!)一体どこに行っているのでしょう…。

“リサイクル”という神話

荒川に散らばるペットボトル。川で止まらなかったペットボトルは海にもたどり着く
写真提供:東京農工大学高田秀重教授(2016年5月28日撮影)

チャイナ・ショック

中国はこれまで、年間約800万トンのプラスチックごみを輸入してきました

しかし、多くのプラスチックごみの受け入れ先となっていた中国が、プラスチックの輸入を禁止しました。 この発表があった去年の冬、「え、これからごみどうするんの?」と世界が震えました。

こうした大量のプラスチックごみの次なる行方は、東南アジアと言われていますが、早速マレーシアやタイで輸入禁止、ベトナムでは輸入制限措置が取られています

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プラスチックごみがあふれる、タイ・バンコクの川。2017年

そもそも東南アジアは、自国で発生する大量のプラスチックごみを処理するインフラすら不足していて、人々の暮らしまで、プラスチックごみによって圧迫されています

漁業や観光業でも主軸になっていた環境が汚染されたり、水が汚染されたりしています。洪水の頻度が上がり、より被害が深刻になるなどの影響を引き起こしているのです。

そもそもリサイクルできないプラスチック

プラスチックごみを分別している家庭ならすぐ気づくと思いますが、家庭のプラスチックごみのほとんどは食品や化粧品、洗剤などのパッケージですよね。

“リサイクル”という神話

三鷹市のゴミ処理施設 2018年 (C)Greenpeace

このようなパッケージは、添加物が多くて質が低く、汚れも取れにくいので、そもそもリサイクルできるように作られていません。

そうしたプラスチックが今まで中国など海外に輸出されてきましたが、輸出できなくなってからは国内に溜まり続けていることを環境省も報告しています。行き場を失ったごみは、燃やされたり、埋め立てられたり、最悪の場合自然界に流れ出したりしています

そもそも、親が子どもに教えるような「自分が出したゴミは自分で片付ける!」ということをできていなかった…ということが、まずショックですよね。

“リサイクル”という神話

輸入したプラスチックを処理するマレーシアの施設。2017年

リデュース&リユース

分別やリサイクルは、どうしても出てしまったごみを有効に活用するという意味では、とても重要なことです。しかし、そもそも生産の段階で、使い捨てプラスチックの量を減らさなければ、プラスチック汚染を根本から解決することはできません。

リデュース・リユース・リサイクルの3Rでは、リサイクルの前に、「リデュース=減らす」、「リユース=再利用」があります。

プラスチックを減らすには、商品を売る企業が、蛇口を閉めることが必要です。

市民の心配の声に応じて、政府がレジ袋有料化を検討しているようにプラスチック汚染に対して動き始めた今こそ、企業もアクションを起こす時です。あなたも、プラスチックを減らすように企業に伝えてください!

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writer

ライター パブリックエンゲージメント 林

パブリックエンゲージメント 林

林 恵美 Emi Hayashi
パブリックエンゲージメント 担当
SNSやメールマガジンで、世界や日本で起きている環境問題やいま私たちにできることを発信するオンライン担当。目下の目標は「めざせ、ゼロウェイスト!」音楽とおいしい食べものがエネルギー源。

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