日本初のゼロウェイスト・タウンに行ったら「ゴミのこれから」がわかった 
PLASTIC 2018.10.15

日本初のゼロウェイスト・タウンに行ったら「ゴミのこれから」がわかった 

2020年までにゴミの焼却・埋立処分ゼロをめざす「ゼロ・ウェイスト宣言」を掲げる、徳島県上勝町。ごみへの意欲のあまりプライベートで上勝町を訪れたグリーンピーススタッフ林の学びの記録です。

日本初のゼロウェイスト・タウンに行ったら「ゴミのこれから」がわかった 

上勝町は、徳島県にある人口1,600人あまりの小さな町ですが、名前を聞いたことがあるという方は多いかもしれません。

おそらく知っている理由は大きく2つあって(もちろん他にもあると思いますが)、1つは映画『人生、いろどり』で話題になった葉っぱビジネス、もう1つは「ゼロ・ウェイスト」でしょう。

おばあちゃんたちが中心になって、上勝の豊かな山の”彩”を全国に届ける葉っぱビジネスもとても素敵ですが、私が上勝町にどうしても行きたかった理由は後者でした。

上勝町は、2020年までにごみの焼却・埋立処分をゼロにする「ゼロ・ウェイスト宣言」をしています。「ゼロ・ウェイスト宣言」をしている街は世界に100以上あり、上勝町は2003年に日本で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」をした町です。(実は当時グリーンピースも関係していました。そのストーリーはこちら

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「ゼロ・ウェイスト」ってごみゼロなの?

”ウェイスト”はムダ、ごみという意味なので、「ゼロ・ウェイスト」は”ごみゼロ”という意味ではありますが、上勝町の取り組みは「ごみは出してもムダにはしないよ」というニュアンスではないかと実際に行ってみて感じました。

町内ではみなさん私たちと同じように生活をしているので、当然ながら少なからずごみが出ます。でも、出てしまったごみに責任を持って、ムダにならないように利用しながら、気持ちのいい町にしていこう、という町民全員の協力で成り立つ町づくりであるように感じました。

実際に上勝町のリサイクル率(再利用率)はいま80%を超えています。全国平均は20%程度なので、かなり高い水準ですね。どのように達成しているのか、詳しくお話を伺いました。*1

1)ゴミ収集車がない

上勝町には、ゴミ収集車がありません。

町民のみなさんは、家庭で出たごみを持って、街の中に1箇所のごみステーションで分別しています。「マンションのごみ置場に袋を出して終わり」が当たり前の東京都民には信じられないほどの町民のみなさんの協力体制です!

ごみステーションは毎日7時半から14時まで開いていて、分別がわからないときにサポートしてくれるスタッフも常駐しているそうです。

お年寄りなどごみステーションまで通うのが大変な方には、スタッフがお家を回ってごみを回収するサービスもあるそう。

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ごみステーションを案内してくれたパンゲア(http://www.k-pangaea.com/)の柿本さん。上勝町のごみステーションは、開放的でクリーン。生ごみは各家庭が自宅で処理するので、イヤなにおいもありません。

2) 45分別!

そのごみステーションでの分別は、13種類45分別!たとえば古紙をとっても、新聞、雑誌、ダンボール、牛乳パック、アルミ付きの牛乳パック、柔らかい芯(トイレットペーパーなど)、硬い芯(ラップなど)、紙カップなど、細かく分類されています。

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大変そうに見えますが、上勝町で出会ったおじさんによれば、習慣なので慣れてしまえば問題ないそうです。家でざっくり分別して、ごみステーションで細かく分類していくのだそう。

この写真にもあるように、資源として売れるものには緑の「入」マーク、処分にお金のかかるものには赤の「出」マークが付いてます。

自分のアクションがどれくらいの価値を生むのかがわかると、分別のモチベーションもアップしそうです。逆に費用がかかるなら、そういうごみがそもそも出ないように心がけようと思うかもしれません。

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資源として売れるごみ

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処分にお金のかかるごみ

いわゆる「燃やすごみ」は、上勝町では「どうしても燃やさなければならないもの」として少し肩身が狭そうにしていました。

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3) 生ごみ堆肥化100%

上勝町では生ごみを回収していません。

その代わり、生ごみを自宅で堆肥化できるように、町が補助金を出して少額で生ごみ処理機を導入できるようにしているそうで、ほとんどの家が生ごみ処理機か、畑や庭に置くコンポスターを導入しているそうです。

生ごみはいわゆる「燃やすごみ」の重量の多くを占めるので、生ごみ処理機に補助金を出す自治体は上勝町以外にもあります。ぜひチェックしてみてください!(残念ながら私の自治体にはないのですが、我が家は中古で生ごみ処理機を導入しています)

このように上勝町では分別・再資源化をしっかりしているため、焼却・埋立した場合と比べて60%も費用を削減することができているそうです。

たとえば、286トンのごみを処理した2017年の場合、すべて焼却・埋立したと仮定すると1,470万円必要ですが、資源化のおかげで焼却・埋立にかかる費用が593万円までスリムダウン。さらに213万円の売上金収入があったので、実質380万円でごみ処理できていることになります。

*1 上勝町は個人、団体、自治体問わず、興味がある誰にでも開かれた視察プログラムを提供しています。上勝の豊かな自然を楽しむ観光と合わせて、視察するのもオススメです!

「ゼロ・ウェイストタウン」の課題

拍手喝采ものの住民のみなさんの協力によって高いリサイクル率を達成している上勝町ですが、課題もあるようです。

リサイクル率は年々上昇し今では80%を超えていますが、ごみの総量はずっと変わっていないのだそう。

そこで上勝町ではいま、次のステップとして、そもそものごみの量を減らすことをめざして、お店に量り売りでの販売を提案したり、赤ちゃんが生まれた家庭に布オムツをプレゼントしたり、Noレジ袋キャンペーンを行ったりしているそうです。

しかし現実には、ほとんどの人が町外に出てスーパーなどで買い物をするため、町外の企業や県の協力なくしては、ごみ自体を減らすことは難しいのだそうです。

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ビール、お茶、スナック、洗剤などの量り売りも行なっているクラフトビール工房のRise&Win

リサイクルは最終手段

リサイクル率80%を達成している上勝町で改めて気づいたのは、どうしても出てしまうごみを有効に使うためにリサイクルはとても大切だけど、そもそも蛇口を閉めてごみが出ないようにすることが前提として必要だということ。

グリーンピースでは世界各国で、使い捨てプラスチックでドリンクやお菓子を販売する企業に対して、ごみに対する責任を問い、ごみのでない方法での販売に切り替えるようにキャンペーンを行っています。

日本でも、企業、政府も一緒になって、燃やすしかない使い捨てのプラスチックに頼らない循環型の社会を作りたいと思いませんか?ぜひ署名してあなたの声も届けてください!

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ライター パブリックエンゲージメント 林

パブリックエンゲージメント 林

林 恵美 Emi Hayashi
パブリックエンゲージメント 担当
SNSやメールマガジンで、世界や日本で起きている環境問題やいま私たちにできることを発信するオンライン担当。目下の目標は「めざせ、ゼロウェイスト!」音楽とおいしい食べものがエネルギー源。

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