奄美大島に漂着した油を見てきました
OCEAN 2018.02.16

奄美大島に漂着した油を見てきました

 油の漂着が起きている島の内外から、影響を気にする声を多くいただき、グリーンピースは2月12日から14日にかけて #奄美大島 に行ってきました。油の漂着の状況確認と、住民の方への聞き取り調査を行うためです。

これは、グリーンピースの基本的な活動のひとつである、「ベアリングウィットネス(bearing witness)」ーー環境破壊の現場をこの目で確かめ、その事実を国内外へ発信することを目的としています。二回にわけてその結果をお伝えしたいと思います。

写真:知名瀬の浜辺に流れ着いた油

奄美大島で、油の漂着はどんな状況?

現地で見てわかったのは、油が漂着している浜と、していない浜で差があるということです。油の漂着は、東シナ海に面する北西の海岸で広がっています。地元のテレビ局や映像関係者の方が協力し、自主的な調査に基づき更新している油漂着マップ*1を見ると、それは明らかです。

朝仁(あさに)

今月初めから報道で取り上げられた奄美市の朝仁海岸では、回収作業が進んでいました。設置されたドラム缶に、たくさんのゴミが集められ、なぜかそこには、油のべっとりついた枕も。その量に圧倒されます。


写真:朝仁海岸に集められた油の付着した回収物


写真:朝仁海岸、油の付着した枕

大浜海浜公園

朝仁海岸からすぐ近くの大浜海浜公園は、ウミガメの産卵地です。漂着した油の回収作業がまさに行われるところで、立ち入りを控えてとの看板が設置されていました。漂着した油は、炭化水素などの有害物質を含む可能性があります。今後、ウミガメをはじめとするその浜に暮らす生きものへの影響が心配です。


写真:大浜海浜公園

知名瀬(ちなせ)

大浜から遠く離れていない知名瀬(ちなせ)の砂浜は回収が始まっておらず、油の漂着物が多く流れ着いていました。普段はきれいであろう砂浜が、油や、油の付着したゴミで覆われています。砂が被っていて表面的には見えなくなっている油もあり、気をつけて歩いていても、靴底にべとべとした油がくっついてきます。その油とゴミで覆われた砂浜、早く通常に戻ってほしい、そう願うばかりです。


写真:知名瀬に広がる油

けれど、私たちがいた間にも、小さな油の塊や油がべっとりついた漁網が波に乗って、浜に打ち上げられている様子が見られました。まだ完全に漂着が止まったという状況ではないようです。


写真:知名瀬の浜辺に広がる油の漂着物

そして、とてもショッキングな写真をお見せしてしまうのですが、知名瀬の海岸で海鳥オオミズナギドリの死骸を発見しました。環境省に報告すると、海鳥は回収されていきました。その羽には一部、茶色い油が付いていましたが、詳しい死因は同省が現在も調べているので、油が影響したかどうかは分かっていません。


写真:知名瀬の海岸で見つかったオオミズナギドリの死骸

写真を見るとわかるように、翼の下にはペットボトルのごみが。海岸には油以外にも、プラスチックごみや漁網などのごみがたくさん流れ着いていました。普段海が見えない街に暮らしていて、海はきれいでリラックスできる場所と思っていたので、とても衝撃を受けました。

捨川(すてご)

空港そばの龍郷町円集落付近の捨川の砂浜にも、油の塊が浜に広がっていました。人生で初めて見る、油の漂着物。それは黒く光っていて、とても不気味な存在に思えました。

写真:龍郷町円集落付近、捨川(すてご)の浜辺に広がる油の漂着物

芦徳(とのり)

北西の海岸の中でも、モズク漁が行われる龍郷町芦徳では、油の漂着はこれまで確認されていないそうです。白く細かい砂で、色とりどりの貝殻やサンゴが広がる、とてもきれいで穏やかな気持ちになれる場所でした。


写真:龍郷町芦徳、モズク漁のネット

 

国直(くになお)

大和村国直集落の浜辺では油の漂着物は少なく、住民のボランティアで片付けられる規模だったそうです。


写真:大和村国直の砂浜、住民の中村さん

これらは全て北西の海岸ですが、海の流れや風によって油の漂着に差があることが分かりました。

いま何が行われていて、次に必要とされることとは?

油の除去作業は、自治体や環境省のサポートにより、随時進められている状況です。周辺の環境影響調査についても、環境省がサンゴ礁や藻場などの水中も含めた調査を、随時行なっていると発表しています*2。

タンカーが沈んだ東シナ海で、水産資源や漁場に油による影響を調べる調査も、水産庁が水産研究・教育機構に委託し、2月16日から開始、結果を4月上旬に公表予定です*3。

これらは全て重要な調査です。加えてグリーンピースは今日、下記の4点のポイントの早急な実施の必要性を関係省庁に伝えました*4。

1. 事故現場および油類が漂着した場所の生態系への影響を見極めるために、中長期的なモニタリング体制を構築し、影響を除去・緩和するための計画を作成し実施する

2. 目視できる漂着油を除去した後も、炭化水素が砂に入り込んだ箇所、岩などに油がこびりついた箇所では汚染物質の100%の除去は困難であるため、当該地においても継続的なモニタリングの実施と、モニタリングで得られたデータの情報公開を行う

3. 海洋生態系および海水調査の結果を特に地元住民に積極的に公開する

4. 国際的な調査チームをつくり、そのデータを他国と共有する

 

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今回の滞在で、自然と共にある暮らしを大切にしている島の人々の生活文化に触れ、素晴らしい場所であることを実感しました。

油による環境やコミュニティの人々への影響が最小限にとどまり、早く美しい砂浜が戻り、島の皆さんが安心して過ごせることを心から願っています。

グリーンピースは今後も状況を注視して行きます。


グリーンピース・ジャパン 広報担当 土屋

グリーンピースは、政府や企業からお金をもらっていません。独立した立場だからこそできる活動で、私たちの知らないところで進む環境破壊や生態系への影響を明らかにしています。寄付という形でも一緒にグリーンピースを応援していただけませんか?

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参考情報

*1 https://maps.amami.camera/

*2 環境省「奄美大島等における油状物の漂着事案への対応体制の強化」(2018年2月8日) http://www.env.go.jp/kanbo/koho/1_180208.pdf

*3 海上保安庁「東シナ海で沈没したタンカーSANCHI 号からの流出油等に関する調査について」(2018年2月9日) http://www.kaiho.mlit.go.jp/info/images/tyosa.pdf

*4グリーンピース・ジャパン「東シナ海で沈没したタンカーからの流出油等についての要望」 (2018年2月16日)

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ライター 広報 土屋

広報 土屋

土屋亜紀子 Akiko Tsuchiya
広報担当。北極から南極まで、国内外のキャンペーン情報を発信します。自然とともにある暮らし、オーガニック食材・玄米菜食を中心とした食養を実践中!とにかく猫をはじめとする動物が好き。

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