雑誌、お菓子の袋、ペットボトル、なんでも言ってみて。彼女ならドレスにしてくれるよ
OCEAN 2018.08.27

雑誌、お菓子の袋、ペットボトル、なんでも言ってみて。彼女ならドレスにしてくれるよ

新聞やチョコレートのパッケージ、機械の部品まで、彼女の手にかかればなんでもドレスになってしまう。ロンドン在住の日本人コスチュームデザイナーのタニクミコさんがリサイクル素材でドレスを作る理由とは。

「ちょうど学校の卒業制作を作り始めようとした時、ロンドンの地下鉄付近で新聞を無料で配る新聞社が増えて、街中が新聞のゴミだらけになったんですよ。電車で読んで、そのまま席に置いていってしまう。それを見て、新聞紙を使ってドレスを作れないかと思ったのです」

雑誌、お菓子の袋、ペットボトル、なんでも言ってみて。彼女ならドレスにしてくれるよ 雑誌、お菓子の袋、ペットボトル、なんでも言ってみて。彼女ならドレスにしてくれるよ

ゴミとなって捨てられた新聞を使った、タニさんの卒業コレクション。“Kumiko Tani graduate fashion show at Central Saint Martins 2007”

ロンドンにあるアート&ファッションカレッジ・Central Saint Martinsの卒業コレクションとして新聞ドレスを作ったことから、コスチュームデザイナー、タニクミコさんの独特のスタイルが始まりました。タニさんは、15年間ロンドンに拠点を置き、ゴミになる運命だった素材をアップサイクル*してドレスを作るRe-cycle-Styleを主宰されています。

*アップサイクル…いらなくなったものを再利用しながら、価値を”アップ”させたものを生み出すこと。

「ロンドンに住み始めてみると、『ゴミをそこに置くのっ』ていう驚きの場面が多々あったんですよ(笑)。日本では周りの人が見ているから、ゴミを持ち帰る人が多いと思うのですけど、ロンドンではその場で捨てていく人が結構いるのです。イギリスにはそのゴミを片付ける仕事をする人がいる為、それは文化の違いなのですが。

でも小さい頃から、ものは大切にしなさいという曽祖母の教えがあって、例えば、広告の裏の白紙の部分を束ねたノートを曽祖母が作ってくれて、これを使いなさいと渡されたり、そんな環境で育ってきたのですよね。だから自然と同じ様な気持ちでそういうものをドレスに使うことを始めていったのだと思います」

タニさんは、ドイツのベルリンで開かれているベルリン・ファッション・ウィークにも、サステナブル・ファッション部門で参加しています。

今年の7月のショーでは、インテリア会社で不要になったサンプル生地、プルタブ、カフェでもらった使用済み生分解性プラスチックナイフ・フォーク、コンピューターのLANケーブル、梱包材、着物、スクラップペーパー、そしてポータブルソーラーパネルまで、様々なエコマテリアルを組み合わせてドレスを作ったそうです。

雑誌、お菓子の袋、ペットボトル、なんでも言ってみて。彼女ならドレスにしてくれるよ 雑誌、お菓子の袋、ペットボトル、なんでも言ってみて。彼女ならドレスにしてくれるよ 雑誌、お菓子の袋、ペットボトル、なんでも言ってみて。彼女ならドレスにしてくれるよ

Photo by Ucocon

「漁網」を使ったドレス

そんな彼女が、今回グリーンピース・ジャパンとコラボレーションをして、新たに作品を作ってくれました。コラボレーション作品で使ったリサイクルマテリアルは、漁業に使われて処分を待っていた「漁網」。

どうして「漁網」を使ったドレスを使っているか、わかりますか?まずは完成した作品をご覧ください。

キーワードは「混獲」。「混」ざって「獲」ると書いて「こんかく」と読みますが、漁業関係者でない限り、ほとんどの人が知らない言葉だと思います。(知ってたらすごい!)

混獲とは、獲物として狙っていない生きものが意図せず漁網にかかって犠牲になってしまうこと。年間に16万羽のウミドリ、30万頭のウミガメが、混獲に巻き込まれ、多くが命を落としています。

雑誌、お菓子の袋、ペットボトル、なんでも言ってみて。彼女ならドレスにしてくれるよ

漁網に引っかかって命を落としたウミドリ。北太平洋 1990年

ほとんど知られていない問題ですが、お魚をよく食べる私たち日本人にとって、目に見えていないだけで身近な問題です。だから、食卓の裏でこんな問題が起きているということをたくさんの人に知ってもらいたい、ということで、「混獲」をアートで表現できないか、と始まったのが今回のプロジェクトでした。

象徴的な漁網を使って何か表現できないか、と頭を悩ませていたところ、ロンドンにリサイクル素材を使って面白いことをやっている日本人アーティストがいる!とのことで、タニさんにお声掛けしたところ、ありがたいことにすぐ参加していただけることが決まりました。

「プラスチック汚染はイギリスでも話題で、海の問題に関心はあったんです。そんなときにたまたま混獲のテーマをいただいたのですが、正直『混獲』という言葉も知りませんでした。でもネットなどで調べて問題を見ていくうちに、興味が湧いてきました」

雑誌、お菓子の袋、ペットボトル、なんでも言ってみて。彼女ならドレスにしてくれるよ

このアートプロジェクトのために来日してくれたタニさん。グリーンピース・ジャパンのオフィスにて。

「混獲という問題は、知ろうとしなければ知らないことですよね。それぞれの毎日の暮らしがあるなかで、世界で起きているこうした問題は、新聞やネットニュースなどを読んでいる人なら知る機会があるかもしれないけれど、知らない人の方がおそらく多いと思うんです。

でも映像とかアートをきっかけに、きれいとか、なんだろうとかそういうふうに興味を持ってもらって、文字を読まなくてもわかるようなスタイルなら、いろんな人に伝わると思うんです」

タニさんをはじめ、今回のプロジェクトに加わってくれたみなさんのように、芸術の分野で活躍しながら、環境などの社会問題についてもメッセージを発信する人が増えています。これまでにグリーンピースの活動にも、デザイナーのヴィヴィアン・ウエストウッドさんや、ミュージシャンのトム・ヨークさんなども参加してくれています。

雑誌、お菓子の袋、ペットボトル、なんでも言ってみて。彼女ならドレスにしてくれるよ

(左)グリーンピースの"Save the Arctic 北極を保護区に"キャンペーンをサポートするヴィヴィアンは、キャンペーンTシャツもデザインしてくれた。(右)イギリスの音楽フェスグラストンベリーで、グリーンピースのバナーを掲げてパフォーマンスしてくれたトムとレディオヘッド。

「今はヨーロッパの方がムーブメントは大きくなっていますけど、日本でもだんだん大きくなっていると思うのです。興味を持った人々がいろんな形で人に伝えて、それを見た人々が、また人に伝えて行く、ただの理想論なのかもしれませんが、伝える方法でまた広がり方も変わってくると思います。そして、またその人数が増えていくと思うのです。

私も機会があればもっと日本でも活動していきたいって思っています」

分野の垣根を越えて、いろんな考えを持った人たちが、環境というキーワードの周りに集まり、輪が広がっています。あなたも今日このムーブメントに参加して、一緒に輪を広げていきませんか?JOIN Greenpeace! 

メルマガ登録してグリーンピースの最新情報を受け取る

この記事をシェア

writer

ライター パブリックエンゲージメント 林

パブリックエンゲージメント 林

林 恵美 Emi Hayashi
パブリックエンゲージメント 担当
SNSやメールマガジンで、世界や日本で起きている環境問題やいま私たちにできることを発信するオンライン担当。目下の目標は「めざせ、ゼロウェイスト!」音楽とおいしい食べものがエネルギー源。

話題のキーワード