1分間WEBムービー『混獲-Bycatch-』に込められた環境への想い
OCEAN 2018.08.27

1分間WEBムービー『混獲-Bycatch-』に込められた環境への想い

こんにちは。グリーンピース・ジャパン広報の松本です。

 

本日、1分間WEBムービー『混獲-Bycatch-』を公開しました。

夜の海辺を舞う日本とイギリスのダンサーたちが身につけているのは、実際の漁で使われた網を使った「漁網ドレス」。

ミステリアスな映像には、一体、どのような意図が隠されているのでしょうか。

 

■動画ストーリー

静かな夜の海辺で、漁網ドレスを身につけて踊る2人のダンサー。彼女たちは混獲の被害を受けるウミドリを表現している。ダンサーのまわりに積まれる漁網の山は、迫りくる捕獲の脅威を表す。伸びやかに舞う2羽のウミドリは、空の自由を謳歌している。しかし周囲の漁網にとらわれ、彼女たちの翼は徐々に動きが鈍くなっていく。絡まってくる漁網に抵抗して懸命にもがくも、動きは途絶え、ウミドリたちは月光の下で息を引き取るのだった。

この動画は海の生きものの残酷な死をダンサーが芸術的に表現し、漁業における「混獲」の問題をアート作品として提起しています。

混獲ってなに?

1分間WEBムービー『混獲-Bycatch-』に込められた環境への想い

 

混獲とは、漁業において、対象とする魚種以外の生きものが一緒に捕まえられてしまうことです。

これには漁業対象以外の魚に加えて、ウミドリ、ウミガメ、海洋哺乳類などが含まれます。

今回ダンサーたちが踊りのモチーフにしているウミドリは、混獲の犠牲になりやすい海の生き物のひとつ。はえ縄の釣り針についたエサを食べようとするなどして、少なくとも年間16万羽のウミドリが命を落としているとされています(注1)。

また、一年間で混獲の被害にあっているウミガメは30万匹にものぼるとされ、そのうち何万匹もが命を落としています(注2)。

グリーンピース・ジャパンでは、これまでも「【1分でわかる】ミツバチが世界中から消えている?」のようなドキュメンタリー映像を発表してきましたが、アート作品としての動画を作成するのははじめてです。

なぜ今回、混獲をテーマにアート作品の映像を作成したのか、プロジェクトリーダーに制作の背景を聞きました。

なぜ混獲問題をテーマに?

1分間WEBムービー『混獲-Bycatch-』に込められた環境への想い

『混獲-Bycatch-』プロジェクトリーダーのグリーンピース・ジャパン林© Greenpeace

 

『混獲-Bycatch-』のプロジェクト経緯を聞かせてください。

グリーンピースの海洋生態系チームではここ数年、マグロなどの絶滅危惧種をはじめとした過剰漁業の問題をテーマに活動してきました。ですが正直なところ、漁業をサステナブルに変えるキャンペーンには熱烈なサポーターの方々がいるものの、関心を持ってくれる方を増やすことに頭を悩ませていたんです。

そこで注目したのが、マグロ漁で起きやすい混獲。混獲は多くの被害をもたらしているのにもかかわらず、ほとんどの人がその問題を知りません。

お寿司で定番のマグロなどの魚が絶滅に追い込まれるほど獲られていることに加えて、ウミガメやウミドリまで犠牲になっているという事実を知れば、多くの人はまず驚くと思いました。それと同時に、いつでも安く魚介類を食べられる現代の消費社会と引き換えに、海に大きな負担を強いていることに気づくきっかけになるんじゃないかと思いました。

1分間WEBムービー『混獲-Bycatch-』に込められた環境への想い

撮影は九十九里浜で一日がかりで行われた© Hidenori Tanaka / Greenpeace

 

グリーンピースの海外オフィスでは、イギリスチームが作りエマ・トンプソンさんがナレーションした「私の部屋にランタンがいるの。どうして森に帰らないの?」やロシアチームがバレエ団とコラボして作った「確かに、でも静かに、世界を侵食しているプラスチック」など、アーティストとコラボレーションしたプロジェクトが盛んです。日本でもクリエイティブな手法で混獲の問題を提起できないかと考え、今回の動画を作成しました。

 

環境問題をアートに変えるクリエイターたち

 

『混獲-Bycatch-』映像制作にあたり協力してくれたのが、ファッション、映像、アート、音楽などさまざまな方面で活躍されるクリエイターたち。

まず、漁網ドレスをデザイン、映像演出も手がけたのがロンドン在住のコスチュームデザイナー、タニ・クミコさん。

1分間WEBムービー『混獲-Bycatch-』に込められた環境への想い

撮影現場で漁網の位置を確認するタニさん© Greenpeace

ゴミを華麗なアートに変身させるタニ・クミコさんのインタビューブログ「雑誌、お菓子の袋、ペットボトル、なんでも言ってみて。彼女ならドレスにしてくれるよ」は、こちらをご覧ください。

 

そして、幻想的な世界観を映像で巧みに表現するのが、映像クリエーターの大月壮さん。

大月さんは、サザンオールスターズ、YUKIなどのMVを手掛ける傍ら、今年、環境に関するクリエイティブチーム「NEWW」を立ち上げました。

環境問題について「世の中って、悪とか正義とかどっちにも相応の言い分があるけど、環境がきれいな方がいい、というのは誰が見ても明らかなこと。そういうストレートなところがいい」と語ります。

 

1分間WEBムービー『混獲-Bycatch-』に込められた環境への想い

環境への関心は大月さんの創作の源にもなっている© Greenpeace

また、総合プロデューサーとしてコンセプト作りからウェブサイトイメージまであらゆるクリエイティブをプロデュースしてくれたのが平井有太さん。

平井さんはアーティスト、ライター活動と並行して、現在はみんな電力が運営するエネルギーのポータルサイト『ENECT』編集長として、再生エネルギーの普及に尽力しています。

「震災や異常気象が続いて、今の若い世代は環境をこんな状態にしてしまった上の世代の在り方や姿勢に敏感なんじゃないかと思います。これからは食べ物でも何でも、自分で考え責任をもって選ぶことをしないと、気付いた時にはとんでもないものに巻き込まれてるということがあると思う

1分間WEBムービー『混獲-Bycatch-』に込められた環境への想い

平井さんは3.11をきっかけに、みんなの「生活が前衛」ということに気がついた© Greenpeace

 

グリーンピース・ジャパン初の試みとなる「環境×アート」のWEBムービーは、多くのクリエーターたちの力、環境へのアツい想いによって完成しました。

一人でも多くの方が海や環境について興味を持ってもらえるように、ぜひ動画をインスタグラム、フェイスブックなどのSNSでシェアしてください!

動画特設ウェブサイトもご覧ください

(混獲に興味を持ってくださった方へ) 「混獲」の問題、どうしたらいいの?

「サステナブル・シーフード」と呼ばれる、一本釣りなどの海に負担がない方法で獲られた持続可能な魚介類を提供するお店も生まれています。そういった選択肢がない場合は、ぜひいつものお店で、「サステナブル・シーフードを扱ってください」とお願いしてみましょう。

 

去年2017年、2年間のキャンペーンの末、世界最大のツナ缶会社が、混獲の起きにくい漁法に切り替えることを約束してくれました。化学農薬が使われた野菜の代替品としてオーガニック野菜が色々なところで買えるようになったのと同じように、私たちの声の力で社会は(たとえ本当に少しずつでも)変わっていきます。混獲をなくすために、私たちにできることをご紹介します。

1)お気に入りのブランドやスーパーマーケットに、責任のある方法でとられたマグロをもっと扱ってほしいとお願いしてみる

2)グリーンピースのツナ缶ランキングで評価の悪い商品は買わない

3)マグロを食べる量を減らして、マグロの個体数の回復の手助けをしてみる

4)疑わしい時は、思いきってヴィーガン・ツナを選んでみる

■これまでの活動

「目を背けてはいけない太平洋マグロ漁船で働く人々のありえない話」(2015年:タイ・ユニオンと人権問題)

「うちのネコ缶だいじょうぶ?」(2016年3月)

「ただいま、インド洋をパトロール中!」(2016年4月)

「ついに動いた!ペットフード業界最大手のマースとネスレ、海と人権をまもる宣言」(2017年3月)

「遠洋漁船が「大海の孤島」に…タイ水産業界で人権侵害・違法漁業が終わらない理由」(2017年5月)

「いまがチャンス!世界の水産業をもっとサステナブルに変える」 (2017年5月)

世界最大のツナ缶企業がチェンジ!海も人もハッピーに!2017年7月

世界で拡大中!サステナブルでエシカルなツナ缶って?2017年7月

注1,2) 出典:Greenpeace International, “Out of line,” 2013

 

タニクミコさんのインタビューブログを読む

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ライター 広報  松本

広報 松本

松本 志織 Shiori Matsumoto
広報担当。本と映画が大好き。横浜市出身。出版社勤務、フィジーでのJICA青年海外協力隊を経て、現職。元気を出したいときに読む本は『ダンス・ダンス・ダンス』『星の王子さま』『ホセ・ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領』。カナダ出身の映画監督グザヴィエ・ドランの大ファン。

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