ウナギのブラックボックスに迫る、グリーンピース新調査結果を解説!
OCEAN 2018.06.07

ウナギのブラックボックスに迫る、グリーンピース新調査結果を解説!

こんにちは。海洋生態系担当の小松原です。

スーパーマーケットなどで売られているウナギの蒲焼き。ウナギは密漁や不正取引との関与リスクが高いこと、知っていますか?

64日、大手スーパーマーケットなど小売18社を対象におこなった、ウナギの調達についての調査レポートを発表しました。

このブログでは、少しむずかしいレポートの内容をできるだけ分かりやすくお伝えします。

スーパーもどの種のウナギなのか分からない

日本で食べられている蒲焼きに使われるウナギは4種います(ニホンウナギ、ヨーロッパウナギ、アメリカウナギ、ビカーラウナギ)。ウナギの蒲焼きのパッケージに貼ってあるラベルを見ても、どの種のウナギなのか書いてあることはほとんどありません。蒲焼きは加工品なので、「ウナギ」と書いてルール上は問題ないですが、2013年に水産庁からニホンウナギは「ニホンウナギ」と書くようにとお達しが出ています。企業は「聞く耳持たず」ということですね。

そこで、そもそも企業はどの種のウナギなのか分かっているのかを探るため、18社のお店ウナギの蒲焼きを買って、外部のDNA検査機関にお願いして、どの種のウナギなのかを調べてもらいました。

その結果、ニホンウナギの蒲焼きを仕入れたはずが、実はアメリカウナギだったという商品が見つかりました。スーパーもびっくりです!これは、ウナギの稚魚(シラスウナギ)が捕られてから、お店で販売されるまでのサプライチェーン(流通経路)が闇に包まれていることの証です。

アンケート調査に協力してくれた16社のほとんどは、シラスウナギを捕ってから養殖池に入れるまでのサプライチェーンの追跡は不可能と回答しています。シラスウナギはとても高く取引きされるため、日本でも海外でも密漁や不正取引が後を絶ちません。サプライチェーンの全容を把握できないということは、不正なウナギとクリーンなウナギを区別することさえできないということです。

どのスーパーも、リスクが高いと知ってて販売

そもそも、ウナギが違法・無報告・無規制漁業(IUU漁業)や不正取引との関与が高い魚であることをスーパーは知っているのでしょうか? 調査では、協力してくれた16社すべてが、その事実を認識していることが分かっています。さらに、密漁や不正取引などを経た、ブラックなウナギでないことを保証できる蒲焼きがあるかどうかを聞いたところ、11社が「ない」と回答しています。

つまり、日本で流通しているウナギには不正なものが紛れ込んでいることを知っているのに、クリーンなウナギだと約束できない蒲焼きを売っているということです。黙認して不正なウナギの販売を続けることは、不正なウナギを支持することと同じです。私たちの食を支えるために頑張る、何も悪いことをしていない人たちに、とうてい顔向ができることではありません。

捨てられる大量のニホンウナギ

ブラックなウナギ流通も問題ですが、ニホンウナギ、ヨーロッパウナギ 、アメリカウナギは絶滅危惧種に指定されていて、個体数の回復が急がれています。スーパーなどでは、夏の土用の丑の日が近づくと、蒲焼きのコーナーができて、それそれはたくさん並んでいるのを目にします。はたして全部が消費者に購入されているのでしょうか? 売っているニホンウナギの蒲焼きのうち、2017年に廃棄した量を聞いたところ、正直に捨てた量を教えてくれたスーパーは16社のうち5社だけでした。その5社だけでも、2017年に2.7トンのニホンウナギの蒲焼きが廃棄処分されていたことが分かっています。

個体数を増やすためのあらゆる努力をするべき時に、相変わらず大量に売り続けているだけでなく、人の口に入ることすらなく、たくさんのウナギが無駄に殺されているということです。

廃棄食品(フードロス)は、世界が抱える大きな課題でもあります。正直に教えてくれたスーパーがある一方で、「廃棄する場合あり、非開示、ほぼなし」などと、言葉を濁したスーパーが多くありました。業界全体でもっとオープンに議論をして、削減のための取り組みをすべきです。

巻き込まれ、増える絶滅危惧ウナギ

2014年の調査では、ヨーロッパウナギを販売していたスーパーがありましたが、ワシントン条約やEUの規制を理由に、今ではヨーロッパウナギの蒲焼きを販売する大手のスーパーはありません。

蒲焼きの需要をニホンウナギ、アメリカウナギ、ビカーラウナギでまかなう形です。つまり、全体の漁獲・販売量が減らなければ、規制で守られていない他のウナギにより大きな負担がかかるということです。シラスウナギの大不漁を受けて、複数のスーパーが新たにアメリカウナギやビカーラウナギの販売を検討する可能性があることも、今回の調査でわかりました。

ウナギの需要は、漁獲状況や取引規制の有無によって種を超えて移り変わっていることがわかります。ヨーロッパウナギだけでなく、全部の種を守る方法を考えないと、他の種の個体数がさらに減少したり、新たに絶滅危惧種を生むような結果にならないとも言えません。

ウナギ保全の専門家 海部健三先生のコメント

「この調査によって、ウナギの流通について、トレーサビリティが確立していないことが、改めて確認されました。このことを小売業者の担当者も認識していることが明らかにされた点は、非常に重要です。小売業者は、違法行為が関わった可能性のある商品であるということを知りながら、ウナギを販売しています。さらに、これら小売業者の中には、「資源保護」をうたいながら環境保全や放流などの活動を行っている場合がありますが、トレーサビリティの問題には、あえて触れようとしません。このような姿勢は、消費者や社会を欺くものであり、非難されるべきでしょう。今後、これら小売業界が、ウナギをめぐる違法行為に対してどのような対応を取るのか、注目する必要があります。」

海部先生には、調査の発表にあたり、ファクトシート「今さら聞きたくても聞けないウナギ問題」の執筆や、記者会見にご出席いただき、第三者の立場からウナギ問題についてご説明いただきました。

消費者にできること

今回の調査から、密漁や不正取引に関与していないと断言できる蒲焼きを買うことは至難の技であることがわかります。不正・違法な商品を買うことは、意図せずとも不正行為を支持してしまうことになります。絶滅危惧種の個体数回復のため、そしてブラックなウナギ流通を止めるためにもウナギの蒲焼きの購入は控えた方が良さそうです。

今まで消費者には語られなかった「ブラックボックス」のようなウナギの流通を改善していくための第一歩として、「不正取引等のリスクを公開してほしい」、「ブラックなウナギ流通を改善するための取り組みや、廃棄量の削減のための取り組みをしてほしい」と、ウナギを販売する企業にお願いしてみてください。

本当にウナギ問題を解決するには、行政や関係主体による、持続可能なウナギ漁のルールの導入や悪いことをする人たちの取り締まりに加え、クリーンなウナギしか流通できない仕組みの導入が必要です。でも、私たちが「責任ある消費者」になるためにも、これらの準備が整うのを待っているだけではダメなのです。

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(グリーンピース・ジャパン 海洋生態系担当 小松原和恵)


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関連リンク

2018年6月4日プレスリリース「グリーンピース調査:絶滅が心配されるニホンウナギ、大手小売業の不透明な調達と大量廃棄の実態が明らかに」

ブリーフィングペーパー「不透明なウナギ調達の実態 ――大手小売業のウナギ加工品(蒲焼き)の調達に関する調査」 グリーンピース・ジャパン 2018年6月

ファクトシート「今さら聞きたくても聞けないウナギ問題」 グリーンピース・ジャパン 2018年6月


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グリーンピース・ジャパン事務局長代理 ミリンダ・ブーンクオ

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Before joining Greenpeace in 2013, Mirinda worked with civil society across the Asia Pacific. Everyday at Greenpeace Japan is filled with joy. The creativity and commitment of the team, volunteers and supporters, all focus on how - together - we can build a green and peaceful future. She invites you to join Greenpeace, and looks forward to welcoming you.

ライター Hisayo Takada, Energy Project Leader of Greenpeace Japan

Hisayo Takada, Energy Project Leader of Greenpeace Japan

While living in New Zealand she first joined Greenpeace Japan as a volunteer, and is now the head of the climate energy team back home in Japan. Her work day starts with the sun at 7am, which she loves as a busy mother working for the energy campaign!

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