農家と消費者がつくる、コウノトリの暮らせる田園~ネオニコフリーの好循環ができている理由とは?
FOOD 2018.06.23

農家と消費者がつくる、コウノトリの暮らせる田園~ネオニコフリーの好循環ができている理由とは?

こんにちは、食と農業担当の関根です。

無農薬やネオニコ不使用のお米の商品を扱い、契約する農家がどんどん無農薬に転換していっている生活協同組合(生協)があります。近畿・四国に展開する生協「コープ自然派」を訪ねて、その魅力的な活動をうかがいました。

お話は、コープ自然派生活協同組合の鎌田妙子さんと、コープ自然派のお米専門部門「コープ有機」の佐伯昌昭さんです。

鳥たちが田んぼに戻ってくる

—コープ自然派のお米について教えてください。

生協の趣旨がよく現れているのが「つるを呼ぶお米」です。無農薬の田んぼが広がって地域の生態系を豊かにして、ナベヅルを呼び戻そうと。それで環境がよくなってきたらなんとコウノトリも自然にすみついてくれて、営巣して二年間でひなが5羽も育っています。殺虫剤を使わない「省農薬」と殺虫剤も除草剤も使わない「無農薬」の2種類があります。他にもネオニコチノイド系農薬をつかわない「ミツバチを守る産直米」などがあります。

—無農薬やネオニコを使わないお米づくりは、農家にとっては大変なのでは? 

農家も、農薬を使いたくて使うわけではないんです、農薬もコストがかかりますから。

でも農薬を使わなければ手間がかかります。だから買う方がその手間をしっかり評価しないといけない。しわ寄せがすべて農家にいくようでは農家は挑戦できません。

だから例えば農協より1000円高く買う。農家も高く買ってくれるなら無農薬でやってみようかなと思えるでしょう。そして消費者には安く売ります。

—どうして農家から高く買って、消費者に安く提供できるんですか?

普通、農家が農協におさめる価格の上に、保管・管理費、検査費、倉庫代、卸や精米、袋代が上乗せされて、消費者にとどくときにはどうしてもプラス2,000円くらいになります。私たちの生協もそうでした。そこで、コストをすべて消費者に公開すると同時に、省けるものは省いてシンプルにすることに努めた結果、今ではだいぶ安く提供できるようになりました。

[写真:無農薬の田んぼに訪れるコウノトリ (C)生活協同組合コープ自然派事業連合]

お米は「おいしさ」と「育て方」をいちばんに

—農家はこれまで、高く買い取ってもらえる「一等米」づくりを目指してきましたよね?

食べ物で「一等」とか「二等」と聞いたら普通は、おいしさが大事な要素でしょう?

ところが、お米の等級では味はいっさい求めない。“見た目”なんです。たとえば斑点米*が1000粒のうちに3粒あるだけで「二等米」になって値うちが下がる (*カメムシの吸い跡の黒い点のあるお米)。それを防ごうと農家は殺虫剤を田んぼにまいていました。

 

—コープ自然派では一等米と二等米は同じ価格で買い取っていますね。

斑点米は色彩選別機で飛ばせばいいので、殺虫剤を空中散布してまでカメムシを退治する必要はありません。価格差をなくせば農家も無農薬の米作りをしやすくなります。

技術的にも味にも問題はないし、一等米と二等米の精米のコストそのものは変わりません。2等米だと確かに弾き出されるお米が少し多いですが、農家は少し多くお米を入れてくれるから、それで十分間に合います。ここに限らず、全国どこの農家でも玄米30kgにつき300g余分に入れてくれるのが慣例です。選別機で弾かれるのは140gほどですから、ヌカの分を差し引いても、不足することはありません。

今後、お米の等級制度は変わっていきます。もし「おいしさ」と「育て方」に視点をおくことができれば、お米のあり方はだいぶ変わってくると思うんです。

写真:佐伯さん「僕らの目的は農家をどう増やしていくか。日本の農業を守っていくのが使命。それが最終的に組合のメリットだと思っています。」

—農薬をやめて、他の技術的な問題もないのですか?

虫が湧く、という苦情が以前はありました。それで、ネオニコを苗の時に吸わせると、虫の混入を防ぐのに必要だと言われてきました。でも冷蔵庫で保管することで虫も湧かなくなり、これも技術的に解決できている点です。

挑戦する農家と農協

—農協とは立場や意見の違いがあったのでは?

 ことのはじめは、お米の「エコ認証」をとった農家との出会いでした。当時、農協が相応の値段で買ってくれなくて、私のところに相談にきました。それでコープ自然派では1000円高く買うことにしました。一等米も二等米も差をつけていません。

農協も熱心に研究していますし、農家所得を上げる努力もしています。

 JA東とくしまは、誰でも無農薬のお米ができる農法をほぼ完成させているんです。ネオニコフリーなどの減農薬からはじめて3年か4年くらいすると無農薬でつくれるようになります。

「つるを呼ぶお米」は、無農薬と省農薬の2種類あります(省農薬では除草剤は一回だけ使いますがネオニコチノイド系殺虫剤は使っていません)。環境と農家を守りながら普通の人が日常的に食べられる量と値段でお米を提供できることも大事です。

—農家が無農薬にしやすい理由は買い取る値段の他にもありますか?

無農薬や有機の技術は、農家個人の努力に頼るばかりではなかなか広がりません。誰でもできるような体系にしていかないと…。広がってはじめて環境への(良い)変化が期待できます。

そこで、生協が有機の学校を作って、地元の志ある農協が動いてくれて、技術を作り上げてきました。

地元にはミミズの養殖場があって良質のたい肥が手に入り、地元の要素を組み合わせていくうちに、無農薬で回せるようになってきました。

写真:コープ自然派の組合員向けリーフレット。ウェブサイトでもネオニコチノイドの問題をつたえている。

消費者が「知って、食べる」ことに意味がある

—消費者はどうすればいいですか?

コープ自然派の組合員へのアンケートでは、コープ自然派のお米は半分くらいの人が利用していて、選ばれている理由では安全性が57%。環境保全につながる取り組みを85%が知っていました。

斑点米のことも7割近い人が理解していました。無農薬にしても斑点米の苦情はあまり増えていません。

無農薬のお米が環境を取り戻すことにつながっていることを知って、意識して選んで食べること。そうする人が増えると、私たちも農家にもっと無農薬のお米をつくってください、と言えます。

写真:鎌田さん「育て方を選んで食べる人が増えれば環境は良くなる、だから食べることで世の中を変えますよ、ということを伝えていきたいんです。」

 農家に良し、組合員に良し、環境も良くなる、そんなお米づくりを広げたいという熱い志が伝わってきました。

(文責:関根)

間もなく署名を提出に行きます!

お米へのネオニコ系農薬の使用を止めるために、農家団体や消費者グループとともに実施してきたオンラインキャンペーン。「むやみに農薬を使わないお米がいい」という皆さんの賛同と署名を6月26日に、消費者、農家、養蜂家とともに農林水産省に提出に行きます。

オンラインの賛同は6月25日正午時まで受け付けています。

今すぐ、下のバナーをクリックして賛同してください!>>賛同する >

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ライター 食と農業チーム 関根

食と農業チーム 関根

関根 彩子 Ayako Sekine
食と農業担当キャンペーナー 
今日、何を食べるかは、明日の自分と地球環境につながっています。食のこと、農業のこと、一緒に考えてみませんか?

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