帰還困難地域 – 事故7年目の我が家に帰る
ENERGY 2018.03.05

帰還困難地域 – 事故7年目の我が家に帰る

グリーンピースの放射線調査は、当事者からの話を聞くことから始めます。

今回は、帰還困難区域から兵庫県に避難している菅野みずえさんに聞きました。

菅野さんは、原発から10キロと離れていない双葉町でソーシャルワーカーをしていました。壊滅的な地震の中、なんとか浪江町の自宅にたどり着いた菅野さんは、地震や津波から逃れて避難をしてきた25人を自宅に受け入れました。

しかし、翌日やってきたガスマスク、防護服を身に着けた男性に「ここは危ない!何をしているんだ!ここから30キロを超えて福島方向へ向かって逃げてくれ!頼む。逃げてくれ」と警告を受け、菅野さん自身もすぐに必要なものだけ持って、車で避難したそうです。関西へ避難し、今、関西電力の原発をとめるために精力的に活動しています。

昨年9月、菅野さんの案内で浪江町の調査をしました。  

調査を開始した2017920日は、帰還困難区域を走る国道114号線の規制が解除され、通行自由となった日でした。私たちは、赤ちゃんや子どもをつれた人々が114号線通行中に車から降りて、休憩する姿を目撃しました。できるだけ車から降りないようにしたほうがいいとお話しましたが、本来、そのような警告は帰還困難区域入り口で自治体などによって行われるべきだと思いました。 

114号線沿いの家の倉庫の周りで、1メートルの高さで11マイクロシーベルト、10センチメートルで137マイクロシーベルトのホットスポットが見つかりました。福島県の事故前のレベル(0.04マイクロシーベルト)の275倍です。国の除染基準の毎時0.23マイクロシーベルトの約50倍です。

国の除染基準は、一般の人々の被ばく限度である年間1ミリシーベルトを毎時に換算したものです。年間1ミリシーベルトは、胸部レントゲン1回が約0.06ミリシーベルト程度なので、レントゲンを一年間に約17回受けるくらいの被ばく量を限度としているということです。

その倉庫の修繕を、線量計や防護服なしでしている人がいました。作業を終わるまで立ち去れないということでしたので、放射線の高い場所や比較的低い場所の説明をしました。

菅野さんのご自宅のある津島地区は、政府が人が住めるように整備する「復興拠点」に認定されています。20233月までの避難指示解除が目指されています。除染をしても、放射能を溜め込んだ周辺の森などの影響で再汚染が起こることが今回の調査で明らかになりました。そして浪江町の面積7割が森なのです。

チェルノブイリでは30年以上立入禁止に相当する場所が日本では事故から12年後に解除がめざされています。なぜでしょうか。

それは、日本政府の原発推進方針と関係があるように思います。

でも変化の兆候もあります。先月、外務省が設置した「気候変動に関する有識者会合」では、自然エネルギーの拡大を求め、石炭や原子力に依存するリスクが警告されました。

自然が美しく静かで、でも、放射線レベルの高い津島を訪れたとき、菅野さんは、何世代にもわたって農業を営んで暮らしていた家族の暮らしや伝統について教えてくれました。今はご近所のみなさんが全国各地にバラバラに避難しています。

国連人権理事会の人権状況審査の作業部会で4カ国が、福島から避難しているお母さんの訴えや、グリーンピースからの報告を受けて、原発事故の被害者の人権をまもるようにと日本政府に勧告しました。 

今月、日本の国連人権理事会のために福島からの母子避難のお母さんとともにジュネーブにいきます。

316日の日本政府が勧告の受け入れ表明を前に、勧告を完全に受け入れるように政府に訴えるためです。その日、菅野さんは他の避難者の方々と一緒に、東京電力と政府に対する裁判の判決のために東京高等裁判所に行きます。 ヨーロッパと東京、何千キロも離れていますが、ジュネーブのわたしたちは菅野さんとともにいます。菅野さんの心もジュネーブにきてくれるのと同じように。

ショーン・バーニー グリーンピース・ドイツ シニア核スペシャリスト

原発事故被害者の暮らしをまもるために署名してください

国連人権理事会が、原発事故被害者の人権を侵害する政策を見直すよう、日本政府に勧告しています。その勧告を受け入れるよう、あなたも署名して政府に伝えてください。

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ライター エネルギーチーム

エネルギーチーム

自然エネルギー、石炭火力発電、原発再稼働問題、福島放射能調査など科学的根拠に基づいて活動を続けています。エネルギーについてのページはこちら> http://www.enerevo.jp/

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