政府が、国連人権理事会での勧告に同意【祝】 でもやっぱり素直に喜べない理由
ENERGY 2018.04.21

政府が、国連人権理事会での勧告に同意【祝】 でもやっぱり素直に喜べない理由

 

こんにちは。エネルギーチームの鈴木かずえです。

原発事故被害者の人権に関する国連人権理勧告受け入れを求める署名21,683筆にご参加いただいたみなさま、3月19日、スイスのジュネーブにある国連欧州本部で開かれた国連人権理事会で、日本政府が勧告に同意しました!うれしいです!よかったです!

でも(やっぱり)素直に喜ぶことができません。

それは、日本政府の「同意」は勧告通りの人権状況改善を意味しないから。

 

国連に事実と違う説明をする日本政府

例えばオーストラリアは「福島の高放射線地域からの自主避難者に対して、住宅、金銭その他の生活援助や被災者、特に事故当時子供だった人への定期的な健康モニタリ ングなどの支援提供を継続すること」と勧告しました。日本政府は同意しながら、「日本政府は子ども被災者支援法他にのっとって必要な支援を提供している。福島県は、福島県民健康調査をしている」と返答しています。

2017年3月末でいわゆる「自主避難者」への住宅支援を打ち切っておきながら「必要な支援を提供している」と国連人権理事会に文書を提出しているのです。

「必要な支援」は提供されていません。
それどころか、いわゆる「自主避難者」に対し、緊急避難的な住宅からの立ち退きを迫る訴訟まで行われているではありませんか。

毎月の精神的賠償、職を失った賠償などがない「自主避難者」にとって住宅支援は命綱でした。住宅支援を失い、とくに母子避難者の間での貧困が進んでいます。住宅をとりあげるのは深刻な人権侵害です。

 

国連に真実を伝える

世界に真実を知ってもらうため、スイスで開かれる国連人権理事会でのグリーンピースのスピーチ枠を原発事故被害当事者の方に使ってもらうことにしました。

お子さん2人を連れて母子避難しているお母さんであり、「東日本大震災避難者の会 Thanks&Dream」代表としても活躍されている森松明希子さんにお声がけし、2つ返事でお引き受けいただきました。

3月19日、森松さんは国連人権理事会で2分間スピーチされました。

森松さんは、力強い大きな声で、原発事故直後、放射能汚染は広がる中で、情報が知らされず、無用な被ばくを重ねたこと、汚染した水を飲むしかなく、赤ん坊に母乳を与えてしまったこと、放射能から逃れるために、二人の子どもを連れて避難したことを伝えてくれました。そして、日本政府は市民をまもるための施策は、ほとんど実施してこなかったと訴えました。(スピーチ全文日本語訳)

実は、グリーンピースのスピーチ枠で森松さんがスピーチすることを知った「国際民主法律家協会」が自らのスピーチ枠をグリーンピースに譲ってくれたので、わたしも、国連でスピーチすることができました(NGO仲間ってほんとうにありがたいなあ!と思います)。

わたしは、以下を訴えました。

・グリーンピースの調査をした地域で、避難指示が解除された後でも年間1ミリシーベルト基準を何倍も超える放射能汚染があることを確認していること

・ いわゆる「自主避難者」にとって唯一そして不可欠な住宅支援はすでにうち切られており、緊急避難的な住宅からの立ち退きを迫る訴訟も行われていること

・放射性ヨウ素にさらされた福島の子どもたちのための甲状腺がんのスクリーニングは、多くの保護者たちが反対しているにもかかわらず、当局によりその縮小が検討されていること

そして、勧告の実施を求めました。(スピーチ全文日本語訳)

 

国会でも実態とかけ離れた答弁をする日本政府

国会で質問する川田龍平参議院議員(参議院TVより)

国会でも、立憲民主党の川田龍平参議院議員が国連人権理事会の勧告について、どのように具体的にすすめていくのか質問をしてくれました。速記録はこちら(川田龍平事務所提供)

しかし、その答えは、「今回の勧告も踏まえながら、引き続き、住民お一人お一人に寄り添いながら、関係府省庁と連携しまして一刻も早い復興に向けて全力で取り組んでまいる所存でございます」など、真実のかけらも感じられない答弁でした。

政府が、住民一人一人に寄り添っているなら、政府の管理下にある法人が、避難者の住宅の立ち退きを求めますか?

世帯主の意見を聞くのが、男女平等?

ポルトガル政府は避難者の帰還に関しての意思決定に男女平等な参加を確保することを勧告しています。そのために、「国連避難民に関する指導原則」(IDP原則)を適用せよ、と。

この件に関して川田議員は、住民意向調査の対象が世帯の代表者となっていることを指摘して、そこに男女の両性の完全な平等があるかと質問しました。

それに対し政府は「世帯としての意向を聞いている」という答えになっていない答弁をしました。(一人一人に寄り添うと言ったすぐその後でこの発言…)
IDP原則の行政への周知について政府は「様々な情報発信につきましてしっかり取り組んでまいりたい」と答弁したので、これはやってもらう方向でがんばりたいです。

一般人の被ばく限度年間1ミリシーベルトはいつ実現?

さらに、川田議員は、ドイツの、一般被ばく限度を年間1ミリシーベルト基準に戻すべしという勧告について、現在年間20ミリシーベルトまでが許容されている地域があるが、これらの地域含め、「いつ」1ミリに戻すのかと問いました。

しかし、日本政府は、「いつ」について答弁しませんでした。

地域地域で勧告の実現を

これからも、日本政府に勧告の「実現」を求めていきますが、日本政府が変わるのを待つわけにはいきません。

勧告を受け入れた事実を広め、まずは地方自治体、地域から、原発事故被害者の人権状況の改善を実現させたいと思います。

日本の福島の住民に対する人権侵害は、組織的であり、とくに原発の再稼動をめざすエネルギー政策に直結したものにほかなりません。脱原発も急ぎましょう。

国連でスピーチした森松明希子さんからのメッセージ動画をぜひシェアしてください。


ジュネーブ国連欧州本部訪問写真日記


3月15日 ジュネーブ日本政府代表部訪問、署名提出。国連人権機関関係者と面談。その後、スピーチを行うはずの16日の国連人権理事会会合がストにより19日に延期と知らされる。写真は国連のビル入ってすぐのところに掲げられた「ストにYESを!」のポスター。

3月16日 「福島と人権」をテーマに、国連本部内でサイドイベントを開催
原発事故被害の実態を森松明希子さんとともに訴え。グリーンピースは福島県での放射能調査の報告も。30人ほどの国連加盟国、国連人権機関関係者、NGOらが参加。掲げられている絵は東日本大震災で被災した親が子を抱きしめる姿を描く小林憲明さんの「ダキシメルオモイ」連作のレプリカ。

3月17日 森松さんは、フランスで活動、わたしは自分のスピーチ原稿執筆、2分間以内に言えるように練習。

3月18日 森松さん、フランスからジュネーブに戻る。

3月19日 森松さん、直前までスピーチの練習。そして本会合出席。スピーチの後、NHKなどの取材を受ける。(3月20日にNHKで報道された)

【お礼】ジュネーブでは、国際民主法律家協会のミコル・サヴィアさん、「遠くの隣人311」の杉田くるみさん、「よそものネット」の山本まさとさん、ヒューマンライツ・ナウの光沢美穂さんに大変お世話になりました。改めてお礼申し上げます。


*質問の中で、川田議員は、「被害を受けた当事者を始め、この院内集会などで三月八日に政府に働きかけをした日弁連やNGO、市民の活動の成果だと思います」と言っています。

国会議員が、日本政府が福島勧告を同意したことについて、市民の活動の成果と認識していること、うれしいですね。

ご自分のつらい経験を、原発事故被害者全員の人権を守るため、これ以上被害者をうみださないために発言してくださり、自ら行政などにはたらきかけをおこなっている被害者のみなさん、支援者のみなさん、また、署名に参加したり、ブログを広めたり、ご寄付いただいたり、このプロジェクトをいっしょにすすめてくださったすべてのみなさんにお知らせしたいです。

また、川田議員は、本件で政府に質問主意書も提出しています。

質問主意書

政府答弁書

 


 


 

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ライター エネルギーチーム 鈴木

エネルギーチーム 鈴木

鈴木かずえ Kazue Suzuki
エネルギーキャンペーナー
趣味:カヌーイング、と言いたい!川遊びが好きです。
あと、有権者として、選挙には積極的に関わっています。
当選してほしい人の応援に、自分の選挙区かどうかにかかわらず、関わっています。

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