利用者にも、株主にも、せめて誠意を-関西電力株主総会に参加しました。
ENERGY 2018.07.25

利用者にも、株主にも、せめて誠意を-関西電力株主総会に参加しました。

グリーンピース・ジャパン サポーター窓口の金海です。

先月6月27日、関西電力の株主総会に株主として出席してきました(注1)。

 

市民にも社会にも閉じた会場で

今年の会場はATCホールという大阪南港に面した商業施設の中のイベントスペース。

大阪駅からだと電車を二度乗り継いで40分ほどかかる場所です。前回は神戸市のポートアイランドでアクセスの悪さが不評だったそうですが、より不便な場所に変わったようです。

これは株主に配布された「招集通知」に掲載された地図。

右下に描かれた最寄りの駅から、直に商業施設内(すなわち私有地)を通って左端の会場に入るつくりになっています。

脱原発運動の呼びかけをする市民の多くが、上の地図の左端の会場の正面玄関周辺、O’s棟南館とO’s棟北館の間の渡り廊下の外でのアピール行動を余儀なくされました。報道陣も事前許可制で、取材場所はこの正面玄関前に限られていました。

つまりほとんどの出席者が、メディアにも呼びかけをする市民にもまったく接触することがない会場でした。

日本で最も原発依存度の高い電力会社の株主総会は、市内から離れ一般市民の目にも触れないところで、持続可能な経営方針を訴える人々もメディアも巧妙に締め出した場所で、行われました。

会場正面玄関で株主によびかけを行う関電株主行動の会のみなさん

 

「環境のための原発再稼働」と関電

株主総会は前年の年次報告から始まります。

電力自由化の影響で(とは直接には言及しませんでしたが)利用者が減り販売電力量が減ったこと、他事業の成果により増益になり過去数年悪化が続いた経営状態が好転したことなどが報告されたあと、今後の経営方針について発表がありました。

その中身は「地球環境保護の観点から、安全確保を大前提にこれからも原子力発電を続ける」、「安全性が確認された原発を活用」して二酸化炭素排出削減をはかり、石炭火力発電への投資について「投資する金融機関に丁寧に説明」していくなどという、とても実現可能とは思えない非科学的なもの。それこそ「耳を疑う」ような発言の連続に、ただ驚きました。

一方で、原発再稼働に伴って7月から電気料金が値下げになることが繰り返しなんども強調されました。

株主に配布された招集通知と、株主行動の会が会場で配布した資料

 

野次を飛ばす謎の集団

その後、会場の株主から壇上の取締役会への質疑の時間になりました。

会場には大株主として再稼働に反対する大阪市や京都市の代表、株主行動の会の皆さんの他にも原発に反対する市民の皆さんが数多く来られていましたが、それよりも目立っていたのは、経営方針への疑問を投げかける株主の真摯な意見に対して、頻繁に乱暴な野次で妨害する謎の集団(印象は「総会屋」とも異なる)。

会場の中央あたりに数十名がかたまって着席し、取締役会の発言に大声で「異議なし!」と口々に叫んだり、株主の質問を声高にまぜっかえしたり茶化したり、とても静粛に真剣な議論をできる環境ではありません。

取締役会も司会の会長も、そうした野次を制止することなく、質問に対してもあらかじめ用意した答えを読み上げるばかりで、株主の問いかけにまっすぐ応じるような答弁はまったくしようとしていませんでした(多くの質問が事前に提出されています)。

 

関西電力のOBだという株主のおひとりがたまりかねて、「私たちは株主であると同時に利用者だ。利用者に対しても、株主に対しても、企業としてもっと誠意のある態度をとるべきだ」という意見を述べられました。

私は初めて関西電力の株主総会に出席しましたが、この日、この方がおっしゃったこの一言が、関西電力の企業としての姿勢をもっともよく象徴していると痛感しました。

会社のために持続可能な経営方針への転換を求める株主にも、最大の顧客であるはずの利用者にも正面から向きあわず、危険で、膨大なコストばかりかかる原発を続けることだけに固執し、都合のわるい事実からは逃げてばかり。

 

グリーンピースの株主提案

質疑の後は、株主提案の説明と討議です。

取締役会から3件、株主から20件、合計23件の提案がありました。

グリーンピースからは「神戸製鋼データ不正事件に対する原子力発電所安全性検証委員会を設置」を提案。下記の趣旨を説明しました。

「(前略)神戸製鋼は故意に安全性データを改ざんしていました。

これは、関西電力の原子力発電所にとって、安全性、経済性の双方に重大な影響をもたらします。

神戸製鋼は、この3月、カリフォルニアにおいて500万ドル規模の損害賠償の集団訴訟が提起されています。さらに今月5日には、東京地検特捜部と警視庁がアルミニウムや銅製品などの品質データ改ざん問題で虚偽表示の容疑で家宅捜索しています。

神戸製鋼および関連会社から関西電力に納入されているのは、原子炉圧力容器部材、加圧器、蒸気発生器、溶接材などで、どれも、損傷などあればメルトダウンにもつながるような重要な機械です。

関西電力の調査では、溶接部および原子力圧力容器部材の傷などを検出することはできていません。

取締役会は、これまでに神戸製鋼の製品について、工場への立入り調査や検査証明書と元データとの照合等により、高浜発電所3、4号機および大飯発電所3、4号機の安全性に影響を与えることがないことの確認を行ったといいますが、関西電力による調査は、製品の実物の検査や実物や代替物での新たな試験を含んでいません。

フランスでも、2016年に、原発部品のデータ改ざんで、原子力大手のアレバ社が経営危機におちいりました。そのときは、部品をつくる工場で、元の記録を捨てて、偽のデータへのすりかえがありました。また、安全性を確認するために、実物の破壊検査を行ったり、レプリカを製造しての破壊検査を予定しているのをご存知ですか。検証作業は、2018年の今も続いています。

関西電力は、瑕疵や異常の可能性のある部品・部材についてすべてのリストを公表し、その安全性を実物の非破壊検査や代替物での破壊検査などを通して検証すべきです。

そうした検証を怠れば、深刻な結果を招く可能性を排除できないのではないでしょうか」

ちなみにこの提案に対する野次はありませんでした。

 

株主提案はすべて否決

予想されたことですが、23件の提案のうち、取締役会の提案はすべて可決、株主提案20件はすべて否決されました。

この採決が非常にスピーディーで、いまどの議案を採決しているのかわからなくなることもあるほどで、会場の株主もゆっくり考えて賛成・反対に挙手する余裕がないくらいでした。

4時間の株主総会のなかでもっとも印象に残ったのは、京都市長の「原発に依存しない経営方針」「原発に依存しない電力供給体制」「安全なエネルギーで社会を支えるのが関西電力の使命」「実現不可能な提案はしていない」という要求。

原発など環境負荷の高いエネルギーに依存しない持続可能なエネルギーへの転換は、決して不可能ではありません。

そのことは、グリーンピースが長い間、電力事業者にも政府にも訴え続けて来たことです。

科学的なエネルギーシナリオも発表していますし、海外での成功事例(注2)もあります。

確かに大手電力会社は組織が大きすぎて、急な方向転換は難しいかもしれません。

しかし、世界の流れは脱原発・脱二酸化炭素へとすでに転換しています。

この流れはもうとめられるものではありません。

その流れから著しく遅れた日本の大手電力事業者は、企業として、社会的責任を負う組織として、大丈夫なのでしょうか。

(注1)グリーンピース・ジャパンのエネルギーチームは、脱原発と自然エネルギーの飛躍的導入を求め、株主総会への参加・議決権行使などのために、東京電力に加え、関西電力、および日立製作所の株式を最小単位で購入しています。しかし、グリーンピースの所有している株だけでは株主提案ができません。東電については、20年以上前から、株主として脱原発を東電に求めている「脱原発・東電株主運動」の一員として、株主提案しています。

(注2)ブログ:アップル、Facebook…IT企業が自然エネルギー100%を目指す理由とは?

 

株主運動─社会的責任投資

投資や株主提案などを通して社会的責任を果たそうとする動きで、1990年代の環境保護運動の高まりの中、欧米で大きなムーブメントになりました。日本でも、同時期に、「脱原発株主運動」が東京電力をはじめとして次々に電力会社の株主におこりました。脱原発の活動をしていたグループの人々が「脱原発株主提案」を行うために株主になっていったのです。グループ以外の一般株主からも賛成票を一定程度えています。北海道電力、東北電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力それぞれに脱原発株主運動があります。各地連絡先などはこちら>>

原発や、二酸化炭素を多く排出する化石燃料に頼らない、自然エネルギーの活用。「エネルギーレボリューション(エネレボ)」は、日本でも、世界でも、変化は着実に始まっています。その変化を加速させ、大きな変革を起こすのは、今日あなたがとるアクション。

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ライター エネルギーチーム

エネルギーチーム

自然エネルギー、石炭火力発電、原発再稼働問題、福島放射能調査など科学的根拠に基づいて活動を続けています。エネルギーについてのページはこちら> http://www.enerevo.jp/

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